マクゴーラン農相、農業課題への積極的取り組みを表明
豪州連邦政府の諮問機関である農業・食品政策作業委員会(農業者団体、食品業界など農業関係者10名により組織)は2月、豪州の新たな農業政策の方向性についての提言をまとめた報告書を、連邦政府のマクゴーラン農相に提出した。報告書の内容について同委員会は、農業に関係する人々に対して積極的、挑戦的、現実的なものであるとした上で、特に現実的な部分に注視してほしいとしている。
同委員会からの報告書提出を受けてマクゴーラン農相は、「報告書は、豪州の農業および食品業界にとって競争力維持に役立つのみならず、関連する業界にとっても長期的な貢献となる」と述べ、取りまとめに関わった関係者の努力をたたえた。また一方で、「通常、これらの報告書は楽観的要素を含んでいるが、(この報告書では)引き続き挑戦が必要としており、われわれは、今後とも立ち止まることは許されない」として、示された課題に対して積極的に取り組む姿勢であることをアピールした。
政府、企業間の生産面での協力関係などの実施が必要
今回、提出された報告書では、(1)市場(国際競争や供給網)、(2)競争力(研究開発や人材育成)、(3)天然資源(資源基盤の管理や水資源の有効活用)、(4)変化への対応(地域農業や気象変動)、など4つの項目に分けてそれぞれの状況、課題を記述しており、それに対する対応案を掲げている。
また、豪州の農業、食品分野が長期的な成功を収めるための手段として、
・ 最先端の研究、開発により支えられる改革
・ 企業と政府による堅実な経済運営
・ 消費者の要望に対応できる効果的供給網
・ より自立した企業経営
・ 企業と政府との生産面での協力関係
・ 個人、企業、産業および政府間のコミュニケーションの改善
などの実施の必要性も述べている。
早期の農業政策の策定に向けて努力
豪州の農業政策については、2005年の豪州農業資源経済開発局(ABARE)主催の年次農業・資源観測会議(OUTLOOK2005)の席で、当時の連邦政府トラス農相(現交通・地方サービス相)が、今後の農業の継続的発展を視野に入れ、10年ぶりに見直すことを発表していた。見直しの理由についてトラス前農相は、農業および食品産業の多くが他の産業を上回る著しい成長を遂げている中で、連邦政府の農業政策が引き続き国内の農業および食品産業に対する貢献を保証するためには、新たな農業政策の策定が必要と訴えていた。
現行の農業政策が策定されてから10年以上が経過する中で、この間、農業および食品部門は順調な成長を遂げてきたものの、輸出価格の下落や世界市場での競争激化、また、貿易問題などは拡大しており、一方では、消費者し好の変化や豪州国内での干ばつによる農産物などの不安定な育成条件など、さまざまな課題も生じてきた。このため、関係者は、これら課題に対応するためにも早期の政策見直しが必要との考えを示していた。
当初、作業委員会からの報告書提出は2005年12月、また、新たな政策の策定時期について2006年3月をめどとしていたが、同委員会による関係者の意見聴取や取りまとめ作業の遅れから計画がずれ込んでいることで、連邦政府農漁林業省は、早急の農業政策の策定に向けて努力したいとしている。
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