ウェスタンブロット検査によりBSE陽性と確定
米国農務省(USDA)は3月13日、同月10日にBSEスクリーニング検査により擬陽性とされた牛についてウエスタンブロット検査を行ったところ陽性との結果を得たことを公表した。
当該牛はアラバマ州内の農家で飼養されていた歩行困難牛(肉用牛交雑種雌牛)である。サンプルは、地域の開業獣医師が安楽死させた後採材され、USDAの契約検査施設の一つであるジョージア大学に追加的な検査のために送られた。当該牛は農場で埋却されたため、家畜飼料または食品チェーンには入っていない。
USDAは現在、アラバマ州の家畜衛生当局と、当該牛の生産牛群に関する追加的な情報を集めるための疫学的調査を実施している。USDAは、品種や耳標などの個体識別情報を得るため、近日中に当該牛の遺体を発掘して回収するとしている。当該牛はアラバマ州にある最近まで飼養されていた農場では1年未満しか飼養されておらず、この農場は当該牛の生産農場ではない。
USDAは、当該牛の同居牛(当該牛の誕生前後1年以内に生まれた家畜)と当該牛の産子の所在を突き止めるため調査ならびに食品医薬品局(FDA)との協力による飼料の給与歴を確定するための調査を行うとしている。
USDAの検査条件では、サーベイランスのための材料はスクリーニング検査のために契約検査施設に送られる。材料がスクリーニング検査において擬陽性であることが見つかった場合、アイオワ州エイムズにある国立獣医学研究所(NVSL)に追加的な急速検査と二種類の確定診断検査(動植物検疫局(APHIS)の科学者により行われる免疫組織化学検査(IHC)、USDA農業研究局の科学者により行われるウエスタンブロット検査)のために送られることとされている。USDAは二種類の確定診断のうち、どちらか一方が陽性であればBSE陽性家畜と判断することとしている。
今回、ジョージア大学の契約検査施設の擬陽性例はNVSLにおける二次的な急速検査でも陽性を示し、ウエスタンブロット検査結果が陽性となったので、IHCの結果を待たずにBSE陽性と確定された。また、同月15日、IHCの結果についても陽性であったことが判明した。
現在、当該牛の正確な年齢を決定するための疫学的な作業が行われているところであるが、調査に参加している獣医師は、歯列により、老齢牛であり10歳以上の可能性があることを示唆している。この診断が正しければ、当該家畜は97年の飼料規制以前に生まれたこととなる。
なお、USDAは、国際的なガイドラインに基づき、基礎的な保守管理のためのサーベイランスを継続するとし、強化サーベイランスの継続実施について見直す可能性を暗示している。
また、米国におけるBSEの確率は非常に低く、組み合わされたセーフガードは公衆衛生と家畜衛生の双方の保護のために機能しており、米国産牛肉の安全性についていまだに強い確証があるとしている。
USDAは、今後の疫学調査について、公衆と世界中の貿易相手先に対し、情報を共有することにより、高い透明性を継続するとしている。
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