ロドリゲス農相が辞任を申出
ブラジルのロドリゲス農相は6月29日、ルーラ大統領に辞任を申し出たと発表した。
ロドリゲス農相は、「私の使命を全うしたという思いから辞任する。農村危機を緩和する交渉に消耗した。常に予算不足だったが、連邦政府の節約方針の中では妥当なものであった。農業プランを発表した以上、今後の進展は経済分野の決定に依存すべき事柄であり、連邦政府に寄与できることは何もない」と辞任の理由を述べた。
また、任期中の主な活動としてバイオエネルギーや国際交渉への取り組みを挙げ、バイオエネルギーについては「2003年1月の農相就任直後の数週間で、連邦政府にバイオエネルギーに関する政策を導入した。バイオエネルギーは、新しい農業の基準となり、世界中にバランスが取れた持続的で再生可能な文明をもたらすと確信している」と述べ、また国際交渉については「ブラジル農務省(MAPA)内にアグリビジネス国際交流局を設置し、農業交渉の進展に寄与することができた。私の辞任がドーハラウンドに障害を来すことはない。アモリン外相は十分にブラジル農業を守れる」と述べた。
ゲデス新農相は農業政策の継続を強調
ロドリゲス農相の辞任を認めたルーラ大統領は、代わってルイス・カルロス・ゲデス・ピントMAPA次官(64歳)を新農相に指名し、7月3日に任命した。
ゲデス新農相は、スペインのコルドバ大学で博士号を取得し、ルーラ大統領政権内ではMAPA次官のほか、国家食糧供給公社(CONAB)の総裁を務めている。
ゲデス新農相は、「任命は光栄であり、農業問題に関する有数の識者であるロドリゲス農相の後任となることは、大きなチャレンジである。これまでの農業政策を継続し、前進させる必要がある。保健衛生、生産地認証、販売促進など農業に関連するすべての分野と密接な関係を保ちたい」と農業政策の継続を強調している。
ブラジル農業関係者は、これまでの政策が継続されることについて好感を持っており、ブラジル組合機構(OCB)のフレイタス会長は「優れた行政官であるロドリゲス農相を失うことは残念である。しかし、ゲデス新農相は現実派であることから、より充実した対話が期待できる」と述べ、ブラジル牛肉輸出産業協会(ABIEC)のカマルデリ理事は「ゲデス新農相は、口蹄疫発生によりブラジル産食肉の輸入停止措置を採る国に対し、措置を解除させるため、食肉関係者とMAPAの連携を継続するであろう」と述べている。
G20の主張に影響はないと思慮
ロドリゲス前農相の辞任とゲデス新農相の任命は、ジュネーブでのWTO閣僚級会合が開催される時期と重なった。しかしながら、
(1)ルーラ大統領自ら「ロドリゲス農相の辞任は農業政策に影響を与ない」と述べていること
(2)WTO交渉はこれまで通りアモリン外相が担当すること
から、今回のブラジル農相交代は、G20のこれまでの主張に影響を与えることはないと考えられる。
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