AI清浄化による安全宣言
マレーシア農業・農業産業相は6月22日、マレーシア国内において3月20日以降に鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認されていないことから、AIの清浄化が確認できたとして安全宣言を行った。
また、同相は、輸出再開による同国鶏肉産業の回復を期待するとともに、自国の清浄化は確認されたものの、隣国のインドネシアなどでは依然としてAIの発生が確認されていることから、引き続き注意が必要であるとの認識も併せて示した。
マレーシアのAI対策
マレーシアでは、2004年8月にAIの発生が確認され、家きんの殺処分などの防疫対策を実施した結果、2005年1月に清浄化宣言が出された。その後、AIの発生は確認されていなかったが、今年2月にスランゴール州、3月にはペラ州およびペナン州においてAIの発生が確認されたため、マレーシア獣医畜産局(DVS)は、家きんの殺処分および消毒を実施した。
マレーシア畜産農家協会連合(FLFAM)によれば、鶏の殺処分は約2万4千羽、アヒルの殺処分は約3万2千羽となり、この殺処分などに係る農家への補償総額は約38万リンギ(約1千2百万円:1リンギ=32円)に上ったとされている。
DVSによる防疫措置は3月22日に終了し、以来3カ月間AIの発生の確認が無かったことから、マレーシア政府は6月19日、国際獣疫事務局(OIE)に対しAI清浄化に係る最終報告書を提出していた。OIEの基準では、最終の防疫措置から3カ月間の監視期間を経て、清浄化が確認されれば清浄化宣言が出されることになっている。
シンガポールは輸入禁止措置を解除
シンガポール食品獣医庁(AVA)は6月28日、マレーシア政府の安全宣言を受けて、マレーシアのペラ州およびスランゴール州からの家きんなどの輸入禁止措置を6月30日に解除すると発表した。
シンガポール政府は、DVSからの同地域におけるAI発生通告に伴い、当該地域からの家きんおよび家きん製品の輸入を即時停止していたが、AVAは輸入再開に先立ち、両州へ係官を派遣してDVSの防疫措置を確認するとともに、この防疫措置が国際基準に沿った適切な対応であったと評価している。
AIが発生していないジョホール、マラッカおよびヌグリスンビランの各州については、AVAおよびDVSが連携して監視を行っていることから、シンガポールへの家きんおよび家きん製品の継続輸入を認めていた。
今回、シンガポールから輸入を認められたのは、ペラ州のアヒル農場37カ所、スランゴール州の養鶏場5カ所、採卵養鶏場1カ所の計43農場であった。シンガポールにおけるアヒル肉消費量は年間約15万トン、鶏卵消費量は同11億6千万個で、ペラ州からのアヒル輸入量は消費量の約80%、ペラ州からの鶏卵輸入量は同約3%を占めている。なお、ペナン州については、AVAの認定農場がないため、今回の輸入再開地域には入っていない。
AVAは、マレーシア両州からの輸入禁止措置の解除を公表するに当たり、もともと両州から鶏を輸入していなかったためシンガポール国内の鶏肉の需給に与えた影響はなかったが、安全性を確保するためAIについて引き続き監視と点検を続けるとしている。
地元メディアによると、マレーシア両州からの輸入再開後のトラック第一便が、6月30日の午前4時頃にアヒル2万6千羽、鶏約5千羽を積んでシンガポールに到着したとしている。
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