NPPC、米議会へPTPAの早期承認を要請
フィリピ全国豚肉生産者協議会(NPPC)会長は6月29日、米上院財政委員会の米・ペルー貿易促進協定(PTPA)に関する公聴会において、当該協定は米国の豚肉生産者に対し同国への輸出機会を提供するのみならず、将来の貿易交渉に向けた高い標準を定めることとなるため、議会は同協定を承認することが急務であると主張した。
NPPCは本年4月にも、米39州の豚肉生産者協会との連名で、全議員に対し同国とのFTAの発効を主張する書簡を送付するなど当該協定の承認を推進していた。
米国は、コロンビア、エクアドルおよびペルーらアンデス諸国とのFTA交渉を2004年5月から開始した。米・ペルーの同交渉は、2005年12月に両国間で合意されたものの、米労働総同盟−産別会議(AFL-CIO)などの反対もあり、まだ米議会での審議には至っていない。今後、当該協定の国内での実施法案が議会に提出され、上院財政委員会および下院歳入委員会での採決を経た後、両院それぞれの本会議において最終的に承認されることとなる。
今回の上院財政委員会における公聴会での同会長の発言概要は以下のとおり。
市場アクセスの拡大が豚肉輸出を後押し
2005年の米国の豚肉輸出量および輸出額は、それぞれ前年比13%増の115万8千トン、同18%増の26億ドル(3,016億円:1ドル=116円)と記録的なものとなった。同輸出量および輸出額は、94年の北米自由貿易協定(NAFTA)の発効および95年のウルグアイラウンド(UR)合意以来、それぞれ389%以上、361%以上の増加を示し、ここ15年間連続で前年を上回って推移している。
同年の主要な輸出相手国別の豚肉輸出量は、メキシコ向けはNAFTA発効前の93年比248%増、日本向けはURが合意された95年比322%増、カナダ向けは米加FTA発効の89年比1,816%増となるなど、米国の豚肉生産者は、これまでの貿易協定から利益を得ている。
PTPAの発効は、米国の豚肉生産者にとって、2,800万人に及ぶペルー消費者に対する新たな米国産豚肉の輸出機会を創出する。現在のペルー向け豚肉輸出は、25%の高関税により制限されているものの、同協定の下、ほとんどの米国産豚肉製品に係る関税は今後5年間で段階的に削減され、10年以内に完全に撤廃されることとなる。
また、ペルー政府は、本年1月5日付けの書簡により、米国の食肉検査システムを同国のそれと同等のものであることを確認し、衛生上および技術的な問題についても既に解決されている。
当該協定のもう一つの重要な影響は、自由貿易が産出する所得の増大である。現在、ペルーのほとんどの消費者は、定期的に食肉を消費するための所得水準にはない。同国におけるFTAにより産出される繁栄は、米国の食肉およびその他農産物にとっての何百万人もの新たな顧客を創造することになると見込まれる。
さらに、アイオワ州立大学のヘイズエコノミストは、当該協定が完全実施された時、米国内の生体豚価格は、1頭当たり83セント(96円)上昇し、平均的な豚肉生産者の収益を7%増加させると分析している。
米国の豚肉輸出の発展は、新たな市場アクセスの拡大が要因となる。URやNAFTAから生じる利益は、経過期間が終了したため、その恩恵も小さくなりつつあり、新たな輸出機会の創出はますます重要となってくる。PTPAは、米国の豚肉輸出の拡大の重要な一部を成し、生産者へ真の利益をもたらすものとなる。
このように、NPPCは、ペルー経済が小規模であるにもかかわらず、PTPAが今後の韓国や他のFTA交渉国との有力な前例と位置付けられるため、米議会に対し速やかな承認を主張した。
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