米国農務省(USDA)によると、2006年の豚肉輸出量は前年比12.4%増の136万トンとかなり大きく増加した。米国の豚肉輸出量は、強い輸出需要を背景に増加傾向にあり、2001年には70万トン台であったが、この5年間でおおよそ2倍に当たる130万トン台となるなど記録更新を続けている。
● ● ● ロシア向け、韓国向けは増、日本向けは減 ● ● ●
輸出量を仕向け先別に見ると、韓国向け、ロシア向けが大きく躍進した。韓国向けは、BSEによる米国産牛肉の輸入が限定的であることなどが影響し、同54.4%増の13万3千トンとなった。ロシアでは、口蹄疫が発生したブラジルからの豚肉輸入を停止したことにより米国産へシフトし、同122.7%増の9万5千トンと大幅な増加となった。また、少量ではあるが香港向けも同113.2%増と大きな伸びを見せた。一方で、日本向けは前年から続く国内在庫量の積み増しなども影響し、2006年の輸出量は同3.0%減の46万トンとなった。
最近の米国産豚肉の国別輸出動向を見ると、最大仕向け先である日本向けシェアが低下しており、96年時点では全体の51.6%と半数以上のシェアを占めていたが、2006年には33.8%まで低下している。なお、輸出第2位のメキシコは、95〜99年にかけてやや減少したが、2006年は20.3%となるなどシェアを再び伸ばしつつある。また、韓国向け、ロシア向けなどの輸出量が増加してきていることから、その他のシェアも2005年以降特に高まっている。これは、日本向け輸出量が、この間増加傾向で推移したものの、それ以上の伸び率で輸出量全体が大きく増加したことを示している。
日本向け、メキシコ向けのシェアの推移
資料:USDA「Livestock,
Dairy and Poultry Outlook」 |
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● ● ● 2007年以降も輸出量は増加傾向で推移する見込み ● ● ●
生産量に占める輸出量の割合を見ると、2006年は前年を1.4ポイント上回る14.3%となった。USDAによると、2007年の輸出量は、2006年に引き続き韓国、ロシアからの引き合いが見込まれるため同5.1%増の142万9千トンが見込まれている。USDAの2016年までの農産物需給予測によると、飼料価格の高騰による生産コストが懸念材料ではあるもの、2007年以降も、輸出量は増加傾向で推移する予測しており、2016年には生産量に占める輸出量の割合は15.7%まで高まるとしている。
生産量に占める輸出量の割合(%)の推移
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資料:
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USDA「USDA Agricultural
Projections to 2016」
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注:
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2007年は概算値、2008年以降は予測値
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