メルコスル地域一体となった口蹄疫対策を開始


総額7千万ドルのパイロットプランを承認

 1月18、19日、ブラジルのリオデジャネイロ市で開催された第32回メルコスル共同市場審議会において、総額7千万米ドル(83億3千万円:1米ドル=119円)の11のパイロットプランが承認された。これらのプランに対しては、初めてメルコスル構造的格差是正基金(FOCEM基金)からの資金が活用される。

 FOCEM基金は、2004年12月16日付けメルコスル決定第45/04号により、メルコスル地域内の構造的一致、競争力強化および社会的連携の推進に向けた計画に対し資金を提供するために設立された。これは特に、域内で経済規模の小さいウルグアイとパラグアイの成長促進を支援することとされ、このため、両国には基金の80%を利用できる権利が与えられている。国別拠出割合と交付割合は2005年6月19日付けメルコスル決定第18/05号において定められており、GDPを基準にした拠出割合は、ブラジル70%、アルゼンチン27%、ウルグアイ2%、パラグアイ1%に対し、交付割合はパラグアイ48%、ウルグアイ32%、アルゼンチン10%、ブラジル10%となっている。

 今回承認された11のプランには、メルコスル地域全体を対象とした「メルコスル口蹄疫清浄化パイロットプラン」のほか、パラグアイやウルグアイを対象とした社会開発や道路建設などのプランがある。


メルコスル基金として初の適用

 「メルコスル口蹄疫清浄化パイロットプラン」に対しては1,630万米ドル(19億4千万円)が投入される。同プランの目的はメルコスル地域全体の口蹄疫を根絶し、家畜の保護と国際市場へのアクセスを図ることにあり、今回の資金は、国境地域の家畜監視システムの導入に充てられるとしている。このため、資金の一部は「効果的な合同作業を実現するために作業手順を統一する必要がある」として、メルコスル加盟国の技術者の能力向上にも活用される予定となっている。

 19日に公表されたメルコスル加盟国大統領の共同声明において、FOCEM基金が今回初めて適用したことに各国首脳が満足の意を表した。同プランは、FOCEM基金による地域全体の最初の合同プログラムであり、メルコスル加盟国の家畜衛生条件の向上を図り、家畜生産者に有利な取引条件をもたらすための合同の取り組みとなるプログラムとして、その重要性が強調されている。


ボリビアで口蹄疫発生の疑い

 一方で、ボリビア農牧衛生当局(SENASAG)は1月26日、同国北東部のサンタクルス県内の農場で口蹄疫の発生を確認したことを国際獣疫事務局(OIE)および周辺国の家畜衛生機関に通知したことを公表した。ボリビアでは2003年9月以降、口蹄疫の発生は確認されておらず、OIEによる口蹄疫ワクチン接種清浄国のステータス取得が期待されていたが、今回の再発によりステータス取得の延期は必至と見られる。

 これについて、アルゼンチンの衛生当局は、42度以北のワクチン接種清浄地域のステータスの回復には影響しないと見ている。同地域では約1年間口蹄疫が発生しておらず、アルゼンチンはすでに多数の市場を取り戻している。ただし、アルゼンチン全国口蹄疫撲滅委員会(Conalfa)の関係者の話として、「今回のボリビアでの再発により地域諸国(ブラジル、パラグアイ、ボリビア、ウルグアイ、アルゼンチン)における口蹄疫対策に問題があるとし、それを根拠にOIEが同地域に対し、一律の衛生ステータスを適用する議論を呼ぶ可能性を危ぐしている」と報じられている。


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