牛飼養頭数の減少は当初予想より小幅、2008年には早期回復の見込み
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は2月2日、2011年までの牛および羊の需給予測を公表した。これによると、2007年6月末時点の豪州における牛飼養頭数は、現在の干ばつが2007年秋期に収束するものと仮定した場合、干ばつなどの影響により前年比2.4%減(▲70万頭)の2,790万頭になると見込んでいる。この飼養頭数の減少は、当初の見込みより小幅にとどまる一方、翌2008年には干ばつ発生前の水準に回復し、その後も拡大し、2010年には3千万頭に達するとしている。なお、2002/03年度の干ばつでは、牛飼養頭数が同4.3%減(▲120万頭)となり、今回の干ばつはそれより飼養頭数への影響が小さいと見込んでいる。
飼養頭数の減少率が圧縮される理由として、今回の干ばつでは、(1)肉牛の主産地であるクイーンズランド(QLD)州で夏期に降雨があったこと、(2)ほかの地域と比べて干ばつの影響の少なかったQLD州、北部準州および西オーストラリア州において牛群の再構築が進み、飼養頭数が増加したこと、(3)1982/83年度の干ばつ以降、生産者段階において、計画的なと畜・給餌方法の導入、水の保管・供給施設の整備および飼料・資金の備蓄といった干ばつ対策が導入され、2002/03年度の干ばつ以降、その対策が一層強化されたこと−を挙げている。こういった干ばつ対策の結果、2006/07年度の死亡率は、前年を1ポイントのみ下回る4%にとどまるとみている。
牛肉生産量も2009年には、2006年の記録を更新
また、2007年の牛肉生産量は、2007年秋から減少に転じ、前年比4.0%減の209万6千トン(枝肉重量ベース)としている。しかしながら、2008年からは再び増加に転じ、2009年にはこれまでの最高を記録した2006年の実績を上回る221万5千トンに達し、その後も増加すると見込んでいる。
内訳を見ると、牛と畜頭数は、飼養頭数が減少することに加えて、牛群再構築の意欲が強いことから、2007年は前年比2.9%減の856万頭を予測している。ただし、豪州北部および西部地域において2003年以来、良好な飼育環境に恵まれたため、この地域におけると畜頭数の増加が、2008年の牛と畜頭数減少率の圧縮および2008年以降の増加に貢献するとみている。一方、枝肉平均重量は、2007年には日本および韓国向け大型去勢牛やフィードロットからの生産が減少することから同1%減の268キログラムなり、その後は徐々に増加するとみている。
2007年の牛肉輸出量は前年を下回るものの高水準を維持
2007年の牛肉輸出量は、前年比4.6%減の910万トン(船積み重量ベース)と見込んでいる。しかしながら、2008年には増加に転じ、2009年には、これまでの最高となった2006年の水準を上回り、その後も増加傾向を維持し、2011年には100万トンを超えるとみている。
国別に見ると、日本向けについては、米国産牛肉の輸入要件や日本国内における牛肉消費の動向によるところが大きいが、2007年は前年比6%減の38万トンを維持できるとみている。韓国向けについては、前年比27%減の11万トンとなるとみている。また、米国向けについては、米国内における経産牛と畜頭数の減少やトウモロコシ価格の上昇に伴う牛と畜頭数の減少などから豪州産牛肉への需要が高まり、2007年は同8%増の32万トンになると見込んでいる。
なお、豪州国内消費については、経済成長が継続する中、品質の向上や消費キャンペーンの実施およびほかの食肉との相対的な価格競争力が高まることから、2007年は前年比1%増の74万トンとなりその後も増加傾向を維持すると見込んでいる。
豪州肉牛産業の見通し
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