日タイEPAでタイ産鶏肉調製品の競争力向上を期待


◇絵でみる需給動向◇



● ● ● 鶏肉生産量は昨年9月以降微増傾向が続く ● ● ●

 タイ農業 協同組合省(MOAC)によると、3月のブロイラー生産量は前年同月比5.7%増の約7千2百万羽となった。ブロイラー生産量は、昨年6月以降、総じて微増傾向が続いており、1月以降は7千万羽台で推移している。しかし、昨年4月以降の生産量は前年同月を下回っており、第1四半期(2007年1〜3月)の生産量は、前年同期比3.4%減の約2億1,400万羽となった。また、ひなのふ化羽数が微増傾向で推移する中、ひな価格は昨年5月以降、前年を下回って推移してきたが、3月は1羽当たり7.4バーツ(約27円:1バーツ=3.7円)と前年を約11%上回った。

 3月の卸売価格(生体)は同22.5%高のキログラム当たり31.5バーツ(約117円)で30バーツ台の水準に上昇するとともに、4月の卸売価格(速報値)も同31.5バーツとなっている。第1四半期における卸売価格の推移をみると、1月から2月にかけては鶏肉消費の減退などの影響によりキログラム当たり20バーツ台の低水準となったが、旧正月以降は需要の回復も見られ同30バーツ台を維持している。

 また、国内では今年に入ってからも鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認されており、鶏肉消費などへの影響が懸念されている。ただし、大手インテグレーターをはじめ業界団体などは、鶏肉消費の減退は主に景気後退によるものとしており、AIの発生に伴う影響は少ないとしている。その理由として、加熱調理済みの鶏肉が安全であることが消費者に浸透していることを挙げている。また、ほかの食肉などに対する鶏肉の価格優位性などを強調しており、消費量の拡大に期待を寄せている。

ひなふ化羽数とひな価格

鶏肉調製品国別輸出量(2007年)



● ● ● 第1四半期の鶏肉調製品輸出量は4%増加 ● ● ●

 3月の鶏肉調製品の輸出量は、前年同月比8.7%増の約2万3千トンとなった。主な輸出国別でみると、日本は同20%増の約1万トン、英国は同6%増の約7千トン、オランダは同11%減の約1千5百トンとなった。

 第1四半期(2007年1〜3月)の輸出量は約6万2千トンとなり、前年同期の実績約6万トンを4%上回った。国別実績は、日本が同6%増の約2万7千トン、イギリスは同2%減の約2万トン、オランダは同26%減の約4千5百トンとなった。国別シェアは、日本向けが全体の44%、英国向けが33%となっている。英国を含むEU向けのシェアは48%となっており、日本とEU向けで全体の約9割を占めている。タイの鶏肉調製品の主要輸出先は日本とEUであるが、現在同国は新規市場の開拓を進めている。その結果、第1四半期は韓国向けが前年同期の約3倍となる約1,200トン、シンガポール向けが同2倍の約1,500トンとなっている。


● ● ● 日タイEPAの効果を期待 ● ● ●

 同国では、2007年の鶏肉調製品の輸出数量については、前年比2%増の約30万トンを見込んでいる。MOACは、日本において中国産鶏肉調製品のシェアが増加していることに懸念を表明しているが、4月3日に日タイEPAに署名したことにより、タイ産鶏肉調製品の競争力が増すものと期待している。ただし、飼料費の価格上昇などの影響により、生産コストは2006年のキログラム当たり27バーツ(約100円)から、2007年には同30〜31バーツ(約111〜115円)まで上昇することが予想されている。特に、トウモロコシ価格上昇の影響は大きいため、ミャンマーやカンボジア、ラオスなどからの輸入も検討しているとしている。


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