● ● ● 乳製品の原料となる牛乳生産量、8カ月連続で前年同月を下回る量 ● ● ●
デイリーオーストラリア(DA)の公表によると、2006年後半から顕在化した大規模な干ばつの影響で、生乳生産量は2006年10月以降、8カ月連続で前年同月を下回っている。2007年5月の生乳生産量は、前年同月比11.6%減の57万9千キロリットルとかなり大きく減少した。 乳製品の原料となる生乳の生産減少が長引いていることから、バターや脱脂粉乳などの主要乳製品の生産量も軒並み減少の一途をたどっている。
● ● ● 生乳と同様の動きを示す主要乳製品の年間生産量 ● ● ●
2007年1〜5月におけるバター生産量の月平均値は前年同期比11.5%減の7千6百トン、脱脂粉乳は同13.1%減の9千7百トン、全粉乳は同40.4%減の6千3百トンといずれも大きく減少した。さらに、高付加価値乳製品として国外からの需要も高いチーズにおいても、近年の生産量は伸び悩んでおり、同13.7%減の2万5.800トンとほかの乳製品と同様にかなり大きく減少している。
チーズの生産量の推移
● ● ● 飲用乳のみ増産、26カ月連続で前年同月を上回る ● ● ●
一方、飲用乳は牛乳乳製品の中で唯一生産の増加が続いており、2005年3月以降、26カ月連続で前年同月を上回っている。2007年1〜5月の飲用乳生産量の月平均は、前年同期比4.4%増の17万9千キロリットルとやや増加した。
豪州ではDAが中心となり、「Dairy The Food of Life」など様々なキーワードを用いた牛乳の消費拡大キャンペーンが行われてきた。これは、母親や女性、児童向けに栄養価や料理方法、ダイエットなどの観点から消費拡大を図るもので、これに加えてカフェ文化の浸透や多種多様な牛乳が市場に投入された結果、相乗効果として牛乳などの消費が増えているものである。こうしたことから、飲用乳は、ほかの乳製品の生産が減少する中で、消費拡大を背景として今後も高水準の生産が続くものと予想される。
● ● ● 5月以降は降雨発生も、早急な生産量回復は見込めず ● ● ●
今年5月以降、地域によってまとまった降雨があり、干ばつの被害も一部では軽減されつつあると伝えられているが、国内全域で生乳生産が以前のレベルに回復するには未だ時間がかかるものとみられている。
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