● ● ● 2007年もチーズの増産が続く見込み ● ● ●
EUでは、CAP(共通農業政策)の下でのクオータ制度により生乳生産量がほぼ一定に抑えられているため、バターや脱脂粉乳の生産が減少し高付加価値乳製品としてのチーズ生産量の増加が続いている。ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2007年(推定値)のチーズ生産量は、前年比1.0%増の810万5千トンとなる見込みである。ZMPは、2004年5月に10カ国が新たにEUに加盟したことが、2004年以降のチーズ増産の動きを加速したとしている。
なお、チーズ生産の内訳を見ると、伝統的に酪農家が生産するチーズの割合が次第に減少する一方、全体の9割を占める乳業会社が製造するものは増加傾向にある。
● ● ● ホエイ需要の増大がチーズ生産拡大に寄与 ● ● ●
さらに、チーズ生産の副産物であるホエイ製品の価格が高騰している。ホエイは、乳糖の代替として飼料向けなどとして域内および中国、東南アジアなどでも需要が増大しており、ホエイの域内価格は近年の最高値を示している。
この国際的なホエイ製品需要のひっ迫状況が、結果的に高水準のチーズ生産を後押しするものとなっている。
● ● ● 2007年のチーズ輸出は伸び悩む見込み ● ● ●
チーズ輸出量の推移を見ると、2006年(速報値)は前年比4.6%増の57万トンと増加しているが、これは、経済成長が顕著なロシア向けを中心に海外需要が増大したためである。近年、ロシアの乳製品需要は急増し続けており、2005年の年間チーズ輸入量は25万トンを超え、日本を抜き世界一となった。さらに、2006年はドイツ、オランダおよびフィンランド産を中心にEUからのロシア向けチーズ輸出量は前年比で2割以上増加したとされている。
しかし、2007年のEUのチーズ輸出量は同1.2%減の56万トンと一転して減少すると見込まれている。これは、ロシアがアルゼンチンを主とした南米やリトアニアなどEU以外の近隣国へ輸入先の分散を強めていることや、EUでも域内経済の好調を反映して高水準の需要が続くことに起因している。なお、6月15日からバターとともにチーズの輸出補助金も一時的になくなったことから、チーズの輸出量がさらに減少することも予想される。
EUのチーズ需給の推移
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