● ● ● 2007年第1四半期は、前年比12.0%減の42万3千トン ● ● ●
欧州委員会が公表した2007年第1四半期の豚肉輸出量は、前年同期比12.0%減の42万3千トンとかなり大きく減少した。
ZMPによると、各地での鳥インフルエンザの発生で鶏肉需要の一部が豚肉にシフトしたことから、2006年のEUの豚肉輸出にとって追い風が吹いたものの、2007年にはこうした需要の継続は期待できないと指摘している。また、ユーロが豚肉輸入国の通貨に対してかなり強くなっていることも、日本向けを中心に輸出が伸び悩んだ大きな理由となっている。
● ● ● 減少幅はNMSがEU15カ国をしのぐ ● ● ●
第1四半期の輸出状況を地域別に見ると、当初からの加盟国であるEU15カ国は、前年同期比9.5%減の38万7千トンとかなりの程度減少した。上位国を見ると、第三位のオランダが同12.6%増の4万5千トンと唯一増加した以外は、EUで最も豚肉輸出が多いデンマークが同14.1%減の12万9千トン、第二位のドイツが同6.7%減の6万9千トン、第四位のフランスが同6.0%減の4万2千トン、次いでスペインが同10.2%減の3万1千トンと、いずれも前年同期をかなり下回る結果となった。
一方、2004年5月にEUに加盟した新規加盟国(NMS)は、前年同期比32.1%減の3万6千トンと大幅に減少し、その減少幅はEU15カ国をしのぐ結果となった。国別では、NMSの最大の豚肉輸出国であるポーランドが同34.9%減の2万2千トン、第二位のハンガリーが同68.3%減の5千トンといずれも大幅に減少している。なお、第三位のリトアニアは前年同期と比較して16倍以上に増加しており、ハンガリーに迫る勢いで輸出を伸ばしている。また、エストニアやラトビアなども、未だ数量は少ないものの大幅に輸出量を伸ばしている。
ポーランドおよびハンガリーなどのNMSの豚肉主要生産国がEUの豚肉輸出の一端を担うと期待されているだけに、ユーロ高などの輸出減少要因がどれほど続くか懸念されるところである。
EU25カ国の豚肉輸出量(第1四半期)
● ● ● 不透明感が漂う、今年のロシア向け輸出 ● ● ●
近年ロシアは原油高などによる経済成長を背景として、EUからの豚肉輸入を増加させており、2006年におけるデンマークからロシアへの豚肉輸出量は前年の2倍以上の10万6千トンと大幅に増加した。しかし、アナリストによると、2007年の同国内の豚肉生産量が増加していることや、衛生上の懸念から同国がポーランド産豚肉の輸入停止を継続していることなどから、2007年の同国への豚肉輸出を予測することは今のところ困難としている。
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