豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、2006年の食肉(牛肉・羊肉)加工業者(Red Meat Value Adding
Companies)上位25社を発表した。このランキングは、加工製品生産の原料として用いた食肉使用量に基づき算出され、加工度の高い食肉製品、いわゆる食肉以外の原材料を加えたものや調理済みに近いものなど付加価値の高い製品の生産状況を把握するものとして、2001年から実施されており、今回の発表は2004年に次ぐもの。MLAでは、2006年の食肉使用量を上位25社合計で20万2千トンと推計している。
外食産業の成長が期待される中で販路の拡大が急務
2006年の加工製品の生産量は、上位25社合計の食肉使用量で見ると前回2004年時と比べてほぼ同じ水準であったものの、製造部門の売却や買収、撤退などにより順位は若干の変動となった。また、牛肉や羊肉の価格上昇により原料費が増加したことで、各企業はより付加価値の高い製品への製造力強化や、外食産業やコンビニエンス業界などへの新製品供給による販路拡大の動きがみられた。調査機関の予測によると、米国や英国と比較して豪州では、外食で支出される消費額の割合が低いことから、今後、年率3〜5%の成長が期待できるとしており、加工製品の製造各社にとっては、この分野への販路拡大が急務となっている。
上位25社の加工製品の生産内訳をみると、ハンバーガー用パティが生産量全体の26%を占め、次いでソーセージなど調製品製造(22%)、冷凍食品など調理済製品(同21%)パイなどのスナック製品(14%)となっている。いわゆる伝統的食材といわれるハンバーガー用パティやパイ製品は、多種多様な製品が投入される中にあっても依然として高い割合を占めている。
水利用制限や労働者不足が大きな課題、企業再編も想定
各企業のテーマとして、現代社会での食に対する消費者の動向は、「より速く」、「より簡単な」、「より少ない食事時間」などへの傾向が高まりつつある中で、これらの要素を盛り込んだ製品の提供に重点が置かれている。また、従来の付加価値製品から一歩進んで、低脂肪製品や製品の安全性、品質管理といった消費者ニーズに対応した製品を生産するための高度な製造法や機材の整備も進められている。
しかし一方で、これらを阻害しかねない問題が生じている。MLAでは、産業全体が直面する問題として、干ばつによる水の利用制限と労働者不足を挙げている。水の利用制限については、長引く干ばつを背景にクイーンズランド州などで利用規制強化の動きが出ており、企業各社は製造過程の見直しや衛生基準への新たな対応が求められている。また、最近の資源ブームを背景に一般製造業などでは労働者不足が深刻な問題となりつつあり、食肉加工製品の品質面や安定供給に対する懸念材料となっている。これらの問題は、消費者ニーズへの対応を行う上で避けては通れない大きな課題であり、今後、中小を含めた産業全体に大きな影響を与えかねない事態も想定されている。
食肉加工業者上位10社(2006年)
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