● ● ● ブロイラー生産量は増加傾向で推移 ● ● ●
タイ農業協同組合省発表の9月のブロイラー生産量(出荷羽数)は、6千9百万羽と前年を2.8%下回ったものの、4月以降の生産量は増加傾向で推移している。
● ● ● 卸売価格の年間ピークは変化 ● ● ●
タイ商務省発表による9月のブロイラー卸売価格(生体)は、前年同月比39.9%安の23バーツ(約76円:1バーツ=3.3円)となり、2月以降、ほぼ前年を下回って推移している。
● ● ● ワクチン使用解禁への議論が活発化 ● ● ●
タイ政府は2004年9月に同国で発生した高病原性鳥インフルエンザ(AI)対策として、ワクチンの使用を禁止し、原則として家きんの殺処分で対応することとしたが、ここにきて保健省を中心に使用解禁への動きが活発化している。政府の関係部署および鶏肉輸出業者団体の動向は次のとおりとなっている。
保健省は10月下旬、「全世界のAIワクチンの生産能力は3億ドースで供給に限りがあり、ウイルスの毒性が強まり、国際的に大規模な人へのAIの感染が生じた場合には、タイへのワクチンの提供は保証されていないので、独自にワクチンの生産プラントを持つ必要がある。現在、年間2百万ドースの生産能力を持つヒトインフルエンザとAIに対するワクチンプラントの建設を計画している。ベトナムにおけるワクチン使用は感染の拡大に歯止めをかけたと考えている。」と述べた。また、同省防疫局局長は、「ワクチン使用の対象は貴重種や観賞用、そして庭先で飼養される家きんに限られることから、大規模ブロイラーへの影響はないと見込まれる。」と述べた。
このような保健省の動きに対して、農業協同組合省畜産開発局(DLD)長は、「多くの科学的研究において、AI対策に関しワクチン以外の効果的な方法がある上に、現時点のワクチンの効果は80〜90%の家きんに抗体を生じさせるのが限度で、十分に精度の高いワクチンが開発されるまではワクチンの使用を認めるべきではない。保健省は通常のインフルエンザ対策に力を入れるべきである。ベトナム、中国そしてインドネシアでの感染率の高さはワクチン使用が原因と考える。」と述べた。
11月下旬、農業協同組合相は、「AIが常在化している状況下では、ワクチン使用の長所と短所とを検討する必要がある。」とこれまでの軌道修正を示唆したが、これに対してDLD局長は、「庭先での家きん飼養者が200万人もおり、ワクチン使用に関する効果的な監視および管理システムは整備されておらず、市場でワクチン使用と未使用の家きんが混在することになり、感染が拡大する恐れがある。」と述べた。
また、ブロイラー加工輸出協会は、これら一連の動きに対して、ワクチン使用の禁止措置を継続することを求め、次の理由を挙げている。(1)自然状態でウイルスは変化を続けており、ワクチンの使用はこの変化を促進する可能性がある。すべての亜型に適合するワクチンを製造するのは困難である。(2)住居と家きんの飼養施設と隣接する生産者がワクチンを使用するのは非常に危険である。AIはニューカッスル病などと異なり人間に伝染する。(3)中国、インドネシアそしてベトナムなどAIワクチンを使用した国でのAI発生は続いている。(4)3年間続けたワクチンを使用しないという政策は、正しい政策であると国際的にも評価されており、地域的な発生は誤った対応によるものと考えられ、現在の政策を変えるべきでない。(5)3年間、タイ経済は冷凍鶏肉を輸出できないことにより影響を受けたが、鶏肉調製品が輸出先国の消費者の信頼を受けており、これまでの政策を変更すべきではない。
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