● ● ● 天候の回復で牧草の育成状況が改善、南島は好調な生産 ● ● ●ニュージーランド(NZ)家畜改良公社(LIC)は2006年12月、2005/06年度(6月〜翌年5月)のNZの生乳生産状況などを公表した。それによると、2005/06年度の生乳生産量は前年度比4.2%増の1,470万キロリットルを記録した。2005/06年度はシーズン当初、酪農生産の中心である北島での天候悪化により前年度水準を下回ってスタートしたが、その後の天候回復により牧草の育成状況が改善したことで、8月以降、生乳生産がおおむね前年度水準を上回って推移していた。特に、近年、酪農生産が拡大する南島では、比較的天候に恵まれたことから、各月の生乳生産はいずれも前年同月を上回って推移したとみられている。また、乳用経産牛一頭当たりの年間平均乳量も3,763リットルと、前年度を5.3%上回った。前年度(2004/05年度)の生乳生産は、低温と長雨による飼育条件の悪化により98/99年度以来、6年ぶりの前年度割れとなっていた。
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資料:LIC「Dairy Statistics 2005-2006」 |
酪農家当たり飼養規模の推移
資料:LIC「Dairy Statistics 2005-2006」 |
酪農動向を地域別(北島、南島)に見ると、依然として伝統的に酪農が盛んな北島が中心であるが、北島では酪農地域を中心とする不動産価格の高騰などにより新規就農が難しいことから、南島の酪農は徐々に拡大しつつある。しかし、酪農現場では、かんがい用水の利用制限、また、地下水汚染防止を目的とした土地利用や飼育頭数の制限など、環境問題を中心に数々の懸念材料が指摘されている。このため、これ以上の酪農生産は難しいとする声も聞こえ始めており、新たな酪農の場所を求めて、隣の豪州に移住する酪農家も出始めている。
NZの地域別酪農動向
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