EUの理事会は2006年11月23日、EUにおけるTSE(伝達性海綿状脳症)対策の根拠規則である「TSEの防疫、管理、撲滅に関する規則(EC/999/2001)」の改正案に合意した。本改正案については、欧州議会においても承認され、12月18日付けで適用された(12月30日付け官報掲載、2007年1月19日から施行)。
なお、サーベイランスの方法や、特定危険部位(SRM)の変更など、今回の規則の改正に伴い新たに設定が必要となる具体的な基準や方法の多くは、今後、欧州議会が関与する共同手続きを経て決定することとなっている。
このうち、BSEに係る主な改正事項は以下のとおり。
(1)BSEリスクに応じた各国のカテゴリー分けの変更
BSEリスクに応じた各国のカテゴリー分けを、現在同規則に規定されている5つのカテゴリーから、2005年5月の国際獣疫事務局(OIE)総会において採択された、簡素化された3つのカテゴリー(カテゴリー1:無視できるほどのBSEリスクの国、カテゴリー2:管理されたBSEリスクの国、カテゴリー3:
BSEリスクが不明の国)と同様の区分へ変更する。これに伴い、輸入の条件や対策のレベルなどは、すべてこのカテゴリー分けに応じて規定。
(2)一定の条件を満たす場合のサーベイランスの緩和
加盟国で同一の条件により実施しているサーベイランスについて、BSE陽性牛の顕著な減少を証明する最新データの提示や、適切な監視やフィードバンの最低6年以上の実施など一定の条件を満たす加盟国については、緊急と畜牛や死亡牛の検査対象月齢の引き上げや、年間に実施するサーベイランステストのサンプル数を減じることが可能。
(3)魚粉の飼料への利用
反すう動物に対してはすべての動物由来たんぱく質を飼料として給与することを禁止してたことを、科学的な根拠に基づく場合、これを一部緩和し、若齢の反すう動物に対しては魚粉を飼料として給与することを認める。
(4)わずかな量の動物由来たんぱく質の飼料混入の容認
飼料中における動物由来たんぱく質の混入について、偶発的であり、かつ、技術的に混入が避けられない場合は、これがわずかな量であれば、リスク評価に基づき設定する水準まではその混入を許容する。
(5)SRMの規定の変更
除去および廃棄の対象となるSRMのうち、牛の脊柱については、現在の24カ月齢超由来のものから、別に定める月齢に変更する。これに関連して、現在、欧州委員会ではこれを30カ月齢超に引き上げる検討を進めている。なお、この牛の脊柱および12カ月齢超の牛由来の脳、脊髄、眼球、舌については、現在規定されている規則の別表から条文中での規定に変更する。
(6)食用の肉とすることを禁止すると畜方法の追加
カテゴリー2、3の加盟国では、と畜の際に脊髄の破壊(ピッシング)を行った反すう動物由来の肉に加え、それに先立つスタンニングにより開いた頭がい骨の穴にガスを注入した反すう動物由来の肉も食用とすることを禁止する。
(7)MSMの製造の禁止
カテゴリー2、3の国由来の骨付き肉から、機械的除去肉(MSM:Mechanically Separated Meat)を製造することを禁止する。
(8)BSE陽性牛と関連する牛のとうた基準の緩和
BSE陽性牛と関連のある牛の速やかなとうたについて、希望する加盟国においては、一定の条件を満たせば、その処分時期の生産活動を終えるまで(供用を終えるまで)延期することできる。
(9)食品として流通可能な動物の定義の変更
カテゴリー3の国における牛製品が含まれた動物由来の食品については、以下の基準を満たさない場合、市場での流通を禁止する。
(1)ほ乳動物由来のたんぱく質の反すう動物への給餌を禁止した日から8年目以降に生まれた動物
(2)BSEの発生が最低7年間確認されていない群内において生まれ、飼養された動物
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