欧州委員会は2006年11月30日、ニュージーランド(NZ)産バターのEUへの輸入枠に関する新たな取り決めを提案した。
輸入ライセンスの独占を提訴
NZ産バターの輸入については、イギリスの欧州共同体加盟(73年)に伴い、イギリスからNZ産バターが締め出される事態を救済するため、73〜80年におけるイギリスの義務輸入数量が決定され、その措置が延長され現在に至っている。なお、95年以降は、ウルグアイラウンドの合意に基づくカレントアクセスの適用を受けて、NZ産バターが域内に輸入されている。
こうした状況の中、ドイツの乳業メーカーは2004年6月、現在のEU規則におけるNZ産バターの輸入ライセンスのほとんどが、この輸出を包括しているNZ最大の乳業会社フォンテラの系列会社に発給されていることを欧州司法裁判所に提訴した。同裁判所は2006年7月11日、このことを違法とする判決を下した。
この判決により、欧州委員会は7月20日、輸入枠の管理が十分に行き届かないことなどを避けるため、同国産バターの輸入ライセンスの発給を一時停止する委員会規則を適用した。しかしながら、輸入枠を管理するための適切な措置を今年中に実施することが困難な状況となっていた。そのため、同国との貿易が継続して行えるよう、同委員会は、本年中の暫定措置を規定し、実施している。この暫定措置では、輸入ライセンスの未発給分である約1万4千トンの入札を行うこととし、6者以上の入札がない場合は不成立とするなどを条件とした。
枠内税率、乳脂肪率などを変更
欧州委員会は、欧州司法裁判所の判決を踏まえ、2007年1月1日以降のNZ産バターの輸入枠に係る新たな取り決めを提案した。主な内容は次のとおり。
・同国産バターの輸入枠に係る輸入ライセンスの55%を現行の輸入者に、残り45%を新規参入者に発給
・同国産バターの輸入枠内の税率は、現行の100キログラム当たり86.88ユーロ(1万4千円:1ユーロ=158円)から、19.43%削減し、同70.00ユーロ(1万1千円)。なお、枠外の税率は同189.60ユーロ(3万円)。
・同国産バターの輸入枠での、バターの乳脂肪率を、現行の80〜82%から80〜85%に変更
・乳脂肪率変更に伴い、2007年(1〜12月)の同国産バターの輸入枠の数量を、現行の77,402トンから74,693トンに削減
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