干ばつ長期化で夏穀物生産にも影響の恐れ ● 豪 州


冬穀物生産は南部・東部州を中心に前年度比62%の減少

 豪州農業資源経済局(ABARE)は12月5日、2006/07年度の穀物収穫予測(更新版)を公表した。これによると、冬穀物生産量は、干ばつの影響により前年度比62%減の1,550万トンと前年度を大幅に下回り、1994/95年度の干ばつ以来、過去10年間で最低の水準になると予測している。特にビクトリア(前年度比76%減)州、ニューサウスウェールズ(NSW、同72%減)州、南オーストラリア(同67%減)州といった南部・東部州での減少率が大きい。これは、これらの地域の8〜10月の降水量が1900年以来の低水準であったことに加え、例年以上に気温が高かったためである。主要3作目の生産予測を見ると、前回(10月末)の公表値よりわずかに改善したものの、前年度比62%減の1,383万8千トンとなっている。内訳は、小麦が973万9千トン(前年度比61%減)、大麦が367万3千トン(同63%減)、ナタネが42万6千トン(同70%減)となっている。

主要冬穀物の生産量および予測数量(前年度比)の推移


夏穀物生産は、米、綿花で大幅な減少、他作目も今後の天候次第で影響の恐れ

 一方、干ばつ状況の長期化に伴い、夏穀物の収穫予測は、夏期に平年並みの降雨があると仮定して、前年度比33%減の306万トンを見込んでいる。特にかんがい用水に依存度の高い米は、割当水量の削減により作付面積が減少し同88%減の12万6千トン、同様に綿実は、作付面積が20年来の低水準となり、同55%減の38万3千トンといずれも大幅な減少とみている。また、主要作目のソルガムは、作付面積が過去最高となった前年度を10%下回るものの最近5年間の平均を上回っており、単収を平年並みと仮定した場合、生産量は前年度並みの201万8千トンを見込んでいる。ただし、冬期から春期の乾燥気候により土中水分が不足している状況にあることから、今後、作付けに当たっては、こういった状況が改善される必要があるとしている。

 なお、11月23日時点における夏期3カ月間(2006年12月〜2007年2月)の気象予報では、夏穀物の主産地であるクイーンズランド(QLD)州およびNSW州において、降水量が平年以上となる確率は50%、また、最高気温が平年以上となる確率は60〜75%であると予測している。


生産者にとって今年度末までの飼料確保が経営上重要な課題に

 今回の報告では、春期の牧草の生育状況が総体的に非常に悪かったことから、農家経営において、今年度末までいかに必要な飼料を確保していくかが重要になると指摘している。ABAREが10月、11月に大規模農家を対象として実施した聞き取り調査によると、2006年7月1日と9月30日現在の飼料穀物の保有状況を比較すると、この3カ月間に75%も在庫量が減少している。これは、この間、飼料穀物価格が急騰したため、農家が在庫を販売する一方、家畜への給餌により取り崩しが進んだためである。この結果、特にQLD州を除く州においては、2006年12月〜2007年6月までの間、農場における飼料穀物の在庫量が平年と比較して低水準となるため、今後、飼料穀物の需給は非常にひっ迫すると予測している。

 なお、豪州農漁林業省によると、飼料穀物不足を解消するため今年10月に決定した飼料穀物輸入の実施については、トウモロコシ、ソルガムおよび小麦について40件の輸入申請があり、すべてについて現在審査中としている。


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