米通商代表、貿易政策に関する超党派的連携を強調


 シュワブ米通商代表は11月28日、ワシントンDC内で開催されたコンサルタント会社主催の会合において、米国の今後の貿易問題に関する演説を行い、同月7日に行われた中間選挙の結果を踏まえ、今後の貿易問題に対しては超党派的連携が不可欠であることを強調し、貿易の拡大という共通の目的に向けた取り組みに期待することを表明した。


中間選挙の結果にかかわらず米国の貿易政策は不変

 演説の冒頭同代表は、先に行われた中間選挙で、民主党が米上下両院の過半数を確保したことにより、今後、米国の貿易政策は変ぼうを遂げるかの一般的な見解を強く否定した。

 「民主党および共和党は、これまで70年以上にわたり貿易問題に対し連携しており、特にドーハ開発アジェンダが2001年に開始されて以来、WTOに関しては、一般的に両党の強い支持を受けてきた。また、最近の例を挙げると、チリおよびバーレーンとのFTAについても、超党派の絶大な支持により可決されたところである」と述べ、市場開放、開発促進、そして、米国が世界の貿易体系の最前線にあり続けることは、個別の政党を超越したものであることを強調した。さらに、同代表は、両党における本質的な意見の相違を整理し、共通原則の確立を目指した取り組みに今後の意欲を見せた。


貿易政策に関する三つの基本原則

 このような状況の中、同代表は、米国の貿易政策の核となる三つの基本原則を掲げた。

 第一は、国内外の成長を促し、貧困を軽減するため、貿易の自由化を遂行すること。第二は、米国の世界的な指導力の問題。これは、最近行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも、海外諸国により多くのFTAの具体化が示されたことから、世界の統合、貿易の強化が加速する中、米国が傍観者となってはならないと注意を促すものである。第三は、これら二つの基本原則の結果として導かれるものとした上で、国際的な政治舞台からの孤立の回避を挙げた。

 現在、両党の両極には、国際化および変革の速度に対する懸念から、保護貿易主義へ後退する姿勢も見受けられることから、同代表は、今後これら勢力に立ち向かって行くことを強調した。


貿易協定に関する課題

 同代表は、WTO、FTAなどの貿易協定の課題に対し、議会における超党派の認識として以下の事項を再確認している。

 ドーハ開発アジェンダについては、農業、工業およびサービス分野において、新たな貿易の流れが生じる改善された多国間協定の確立に取り組むことが重要であり、今後数カ月間、米国は同ラウンドを進展させるため、声を揃えて訴える必要があるとしている。

 また、貿易の流れを確立する最も効果的な方法として、農業、工業、サービス、投資、知的所有権などすべての通商問題を包含する最高水準のFTAに照準を定めている。FTAに関する課題としては、2006年中のベトナムとの恒久通常貿易関係(PNTR)の可決、2007年以降は、ペルー、コロンビア、パナマ、韓国、マレーシアとの合意を挙げている。

 さらに、WTO、FTA共通の課題として、貿易の自由化に伴う労働および環境規則の強化や、貿易が秩序の混乱を招く原因となり得ることを認識した上で、教育・訓練の拡充などを通じて地域社会や労働者に対応することなどを挙げている。


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