干ばつでもたらされる生産量と輸出量の大幅な増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 干ばつによる出荷頭数の増加から、10月の生産量は前年同月比21%増 ● ● ●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は12月、豪州統計局(ABS)の統計に基づく2006年度10月の牛肉生産量を発表した。これによると、干ばつによる放牧条件の悪化と飼料価格の高騰により、肉牛の市場出荷頭数が増加しており、牛肉生産量(枝肉ベース、子牛肉を含む)は前年同月を21%上回る20万2千トンとなった。2006年1〜10月では前年同期を4%上回る182万トンで、この期間としては過去最大である。

東部地区若齢牛一日当たりの取引頭数

資料:MLA

 10月の牛肉生産量を州別に見ると、干ばつの激しいニューサウスウェールズ州では、前年同月比30%増を記録するなど西オーストラリア州を除いて軒並み大幅に増加した。

州別牛肉生産量(10月)

資料:MLA

 一方、本年4月から増加してきた1頭当たりの平均枝肉重量は、2006年9月に前月を1.4%下回る273.3キログラムとなり、干ばつによる出荷が早まっていることを裏付けた形になっている。


● ● ● 干ばつによる早出し出荷から肉牛市場取引価格は、大幅下落 ● ● ●

 肉牛取引の指標となる東部地区若齢牛指標価格(EYCI)によると、干ばつの影響で肉牛出荷が加速していることで、11月の価格は8月と比較して2割安となっている。

東部地区若齢牛指標価格(EYCI)

資料:MLA


● ● ● 日本向け11月輸出量は前年同月比17%増、月間輸出量として過去最大 ● ● ●

 MLAが発表した豪州農漁林業省(DAFF)の統計に基づく2006年度11月の牛肉輸出量(子牛肉を含む船積み重量ベース)は、豪州の牛肉生産量の増加や、日本および韓国市場の強い需要を背景に、前年同月を17%上回る9万5千トンとなり、月間輸出量では過去最大となった。

 一方、肉牛の価格が大幅に下落する中で、11月までの日本向けグラスフェッド価格を見ると、引き続き上昇傾向で推移している。これは、市場への早出し出荷などにより肉牛の品質が全体的に低下しており、日本向けを中心とする品質の良い肉牛確保が難しくなっていることが要因である。

チルドグラスフルセット価格

資料:MLA


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