● ● ● 2006年上半期の輸入量、前年に引き続き増加 ● ● ●
フランスはEU25カ国の中で最大の牛飼養国であり、近隣国への輸出も多いことから、同国の牛産業の動向を注視することは、EUの牛肉需給を考える上で重要となっている。
フランス関税局が公表した同国の2006年1〜6月の生体牛輸入頭数は、前年同期比16.4%増の14万頭と大幅に増加、また、牛肉(子牛肉を含む)輸入量は同3.6%増の15万3千トンとやや増加した。2005年も前者が5.5%、後者が12.4%増加しており、フランスの生体牛および牛肉輸入量の増加基調が続いている。この要因としては、他の多くの加盟国と同様に、国別の生乳生産量の割り当て(クオータ)が一定の中、乳用雌牛の1頭当たりの泌乳量の増加などを背景として乳用種を中心に減少していることや、デカップリング(生産と切り離した生産者を単位とした直接支払い)の導入により、同国の牛生産頭数が減少していることが挙げられる。フランス農業漁業省統計局(AGRESTE)が今年5月に調査した同国の2006年の牛飼養頭数は、前年比0.5%減の1.926万頭に減少した。
フランスの生体牛および牛肉の輸入量(1〜6月)
資料:フランス関税局 |
● ● ● 輸出は生体牛および牛肉ともに、一転して増加 ● ● ●
一方、生体牛および牛肉の輸出は、2005年1〜6月は前年同期と比較してそれぞれが減少したものの、2006年同期は逆に増加に転じた。生体牛の輸出頭数は前年同月比3.7%増の71万頭、牛肉は同5.2%増の10万6千トンといずれもやや増加している。
国別に見ると、生体牛の輸出ではスペインおよびレバノン向けが大幅に減少した反面、イタリア向けが前年同期比9.7%増の56万7千頭とかなりの程度増加して全体を押し上げた。これに対し、牛肉の輸出はすべての国に対して増加しており、これらの中では、イタリアやギリシャ向けの輸出が特に伸びているが、これらの国は自国の牛肉生産の減少を補う形でフランスからの輸入を増やしているものと思われる。
● ● ● 増加が続くと見込まれるイタリア向け輸出 ● ● ●
また、特に生体牛輸出については、牛の飼養頭数で域内第4位のイタリア向けの増加が目立っている。イギリス食肉家畜委員会(MLC)が本年6月に公表した2006年のイタリアの牛肉需給予測によると、同国のと畜頭数は同2.1%減の409万頭、牛肉生産量は前年比2.3%減の110万トンと減少する一方、牛肉消費量は同1.1%増の144万トンに増加すると予測されている。なお、2007年のフランスの牛肉生産が2006年に比べて2.0%程度増加する一方で、イタリアは同水準にとどまるものと予測されていることから、不足分を補うため隣接国であるフランスへの依存度は今後も高まるものと思われる。。
フランスの生体牛および牛肉の輸出量(1〜6月)
資料:フランス関税局 |
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