EUのタイ産鶏肉製品輸入枠が決定


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ブロイラー生産は安定的に推移 ● ● ●

 タイ農業協同組合省発表の8月のブロイラー生産量(出荷羽数)は、6,650万羽と前年を6.8%下回ったものの、4月以降の生産量はほぼ6,200万羽前後となっており、直近の生産は安定的に推移している。

 また、ひなふ化羽数および価格の推移を見ると、図1のとおり、ふ化羽数は前年を下回るものの、安定的に推移している。一方、ひな価格は6月以降、過去3年間で最も低い水準で推移しており、前年同月を40%下回る水準となっている。

図1 ひなふ化羽数とひな価格

資料:ひなふ化羽数は農業経済局、ひな価格は商務省国内取引局


● ● ● バーツ高により輸出企業の収益は低下 ● ● ●

 8月の鶏肉調製品輸出量は前年同月比8.5%増の21,450トンとなった。一方、輸出金額は、24億3,580万バーツとなっており、同0.9%増とわずかな伸びにとどまっている。

 昨年11月以降の米ドルに対するバーツの為替変動は図2のとおり下落傾向が続いている。昨年11月には1ドル41.1バーツだったが今年11月には36.5バーツとなっており、一般にブロイラー加工輸出企業は米ドル建てで輸出取引を決済しているため、為替上、約11%の売上高の減少となり、収益低下の原因の一つとなっている。

図2 為替の推移(バーツ/ドル)


● ● ● EUのタイ産鶏肉製品輸入枠が決まる ● ● ●

 11月27日、タイ政府とEU委員会の間で協議が進められていたEUのタイ産加塩鶏肉と鶏肉調製品の輸入枠について、加塩鶏肉92,610トン、鶏肉調製品160,033トンに決定した。これまで、タイでは、EU域内の鶏肉産業を保護するため、厳しい数量が設定されるのではないかと懸念されていたが、2005年のEU向け鶏肉調製品の輸出実績である10万9千トンを47%も上回る設定となった。ただし、適用期間に関しては今のところ明示されておらず、加塩鶏肉については、鳥インフルエンザ(AI)の発生により、原則として輸出ができない状態にある。

 今回の決定に対して、大手鶏肉輸出企業であるチャロンポカパンフーズ(CPF)は、特に鶏肉調製品において、EUの輸入枠の設定が高いレベルであるほかに輸入関税が8%と想定よりも低いレベルにとどまったとし、今後の輸出機会が拡大したとして歓迎の意を表している。

EUの鶏肉製品輸入枠

資料:EU委員会


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