EUのバター生産量、2005年末以降減少続く


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● バター生産量は2005年11月以降前年を下回る ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、EUのバター生産量(EU15カ国からギリシャを除く14カ国)は2005年11月以降前年を下回って推移しており、2006年1〜8月合計の生産量は、前年同期比4.6%減の110万1千トンとなっている。


● ● ● バターの域内価格も、2年以上前年を下回る ● ● ●

 バター需要は弱含みで推移しており、これを反映して域内価格(オランダのブランドバター価格)の低下傾向も長期化しており、2004年6月以降、2年4カ月にわたり前年同月を下回っている。2006年1〜10月の平均域内価格(100キログラム当たり)は、前年比10.7%安の252.2ユーロ(約3万9千円:1ユーロ=155円)と、かなりの程度下落している。

 なお、同期間の脱脂粉乳の平均域内価格(100キログラム当たり)は同4.3%高の208.1ユーロ(約3万2千円)と、最近の域内外の需要増を反映してバターと対照的な値動きを示している。

バターの域内価格の推移

   注:オランダのブランドバター価格


● ● ● EUはバター輸出補助金を一時的に増額 ● ● ●

 EUは域内の農産物の生産余剰の解消などを目的として、乳製品をはじめ農産物の一部に対して補助金を付けて輸出しているが、このことは各国間の貿易を歪曲するものとして批判が集まっていることから、EUは当該補助金を段階的に削減する方針を打ち出している。しかし、バターの輸出補助金は、2005年7月に100キログラム当たり92ユーロ(約1万4千円)まで引き下げられた後、本年に入ってからは域内でのバター在庫量の増加を受けて段階的に引き上げられ本年4月に同99.5ユーロ(約1万5千円)にまで上昇した。ただし、本年11月には在庫が落ち着いてきたため、輸出補助金を98.5ユーロ(約1万5千円)に引き下げた。

 なお、こうした輸出補助金の増額により、2006年1〜10月のバターの介入在庫量は今年も一貫して前年同月を下回っている。また、この間の月平均介入在庫量は、前年比19.6%減の16万8千トンと大幅に減少した。

脱脂粉乳の域内価格の推移

   注:ドイツ国内における工場出荷価格


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