ブラジル、口蹄疫発生から1年


ロシア、チリは輸入制限を緩和

 ブラジルのマットグロッソドスル州で2005年10月10日に最初の口蹄疫発生が確認されたことが農務省(MAPA)より公表され、11月28日までに同州で発生した口蹄疫は28件に上った。続いて12月6日および2006年2月20日と断続的にパラナ州での発生も確認され、さらに2006年4月20日にマットグロッソドスル州での再発事例が、これまでの最終発生確認となっている。

 最初の発生から約1年が経過した現在、ブラジル産食肉に対する輸入制限は各国で続いている。これまでの間、主要輸入国であるロシアとチリは輸入制限を緩和したが、それでも完全に解禁されたわけではない。「すべての問題が解消されたということを証明するまでは、各国に輸入制限の解除を要求できるものではない」とMAPAアグリビジネス国際交流局のポルト長官は現地紙においてコメントしている。

 ブラジル産食肉に対する各国の輸入制限に関するブラジル政府の発表はないため、現地紙の報道などを基に主要輸入国の対応を整理すると、以下のような状況である。

 ○EUは、口蹄疫発生以降、マットグロッソドスル州、パラナ州、サンパウロ州からの牛肉輸入の停止を継続している。

 ○ロシアは、発生州を含む計8州からの食肉輸出を停止したが、今年に入ってから、リオグランデドスル州およびマットグロッソ州、サンパウロ州、ゴイアス州からの牛肉ならびにリオグランデドスル州からの豚肉の輸入を再開した。

 ○チリは、ブラジル全州からの牛肉輸出を停止したが、今年に入ってから、リオグランデドスル州およびサンタカタリナ州からの牛肉の輸入を再開し、さらに近日中にトカンチンス州およびロンドニア州からの輸入を再開すると報じられている。


官民一体となった口蹄疫対策を実行

 口蹄疫により、マットグロッソドスル州では3万4,113頭、パラナ州では6,781頭の家畜がそれぞれ殺処分され、政府は生産者の補償に2,330万レアル(13億5千万円:1レアル=58円)を支出した。また、これまでの食肉輸出の増加傾向が中断されたとしている。

 しかし、ポルト長官は、口蹄疫は食肉輸出に多大な損害をもたらしたが同時に、

 (1)輸出パッカーは全国に食肉加工処理場を分散したこと

 (2)殺処分の悲惨な光景は牛群のワクチン接種に対する衛生教育キャンペーン10年分の効果を生んだこと

 (3)国境および農地改革対象地域の管理が強化されたこと

 (4)農業防疫予算拡大に関する多くの議論を呼び、これらにより2007年には家畜防疫に対し過去最高の予算額が計上される見込みとなっていること

 など、官民一体となって口蹄疫対策の重要性を再認識して実行に移したことにより、今後のブラジルにおける食肉生産の発展基盤を残し、また、大きな教訓になったと述べている。


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