ここ20年間で最大規模の牛肉処理加工施設を建設
米国最大の豚肉パッカーであるスミスフィールド・フーズ社は10月18日、同社の子会社であるスミスフィールド・ビーフグループが、農業関係の投資会社であるコンチグループ社と50%ずつの共同出資により、オクラホマ州に新たな牛肉処理加工施設の建設事業に合意したことを公表した。
スミスフィールド・グループは、現在、全米最大の肥育豚収容能力およびと畜処理能力を有する豚の生産者・パッカーであると同時に、全米第5位の牛と畜能力を有する牛肉パッカーでもある。
今回のコンチグループ社との共同事業では、オクラホマ州テキサス郡の65万平方フィート(約58.5平方キロメートル)の敷地内に、約2億ドル(234億円:1ドル=117円)の建設費をかけ、最高水準の作業効率および食品安全対策を装備する施設の建設が計画されている。ここ20年間で最大規模となる同施設の建設は、2007年1月に着手され、2008年中頃には完成する予定である。同施設における一日当たりの処理能力は最大で5千頭規模となり、これにより、スミスフィールド・ビーフグループ全体のと畜処理能力は、全米第4位のナショナル・ビーフ・パッキング社に肉薄することになる。
周辺州では生体牛の引き合いが活発化の見込み
スミスフィールド・フーズ社とコンチグループ社は、独立系の企業的肉牛肥育業者でもある。両社は2005年5月、それぞれの牛肥育部門における子会社であったMF
Cattle Feeding社とコンチビーフ社の共同事業により、ファイブリバーズ・キャトルフィーディング社を設立している。同社は、米南部を中心とした5州(コロラド州、アイダホ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州)に10カ所のフィードロットを所有し、その合計収容能力は80万頭超と全米で最大規模となっている。
これまで、同社は特定のパッカーへの出荷を前提としない独立系肥育業者であったが、今回、オクラホマ州に新たに建設されると畜施設では、同州および隣接する州におけるファイブリバーズ社のフィードロットなどからの肉牛供給を計画しているため、同施設の稼働後、周辺地域における牛肉処理加工施設での生体牛の引き合いの活発化が見込まれる。
牛肉産業においてもインテグレーション化が推進
スミスフィールド・フーズ社は、今回の新たな施設の建設地について、(1)フィードロットに近接すること、(2)給水に適していること、(3)地域の労働力が豊富であること、(4)公共設備や輸送基盤が十分に開発されていること−などの理由により、30カ所以上の候補地の中から決定したとしている。同ビーフグループのベスタ会長兼最高経営責任者は、今回の公表に当たり、「同施設への生体牛の供給は、ファイブリバーズ社のフィードロットを含む近隣地域の豊富な肉牛供給に期待しており、また、周辺のファイブリバーズ社側からみても、生体牛輸送コストの相当額の節減が見込まれる」と述べ、さらに、米国内および輸出市場においてさらに重要視されているトレーサビリティに関しても、これらのフィードロットで実施することにより、肉牛の価値を高めることが期待出来るとしている。
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