米国農務省(USDA)のジョハンズ農務長官および米国通商代表部(USTR)のシュワブ通商代表は11月3日、コロンビアおよびペルーが米国におけるBSE発生以降継続していた米国産牛肉の輸入禁止措置を解除したことに関し、これを歓迎する声明を発表した。一方、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、今回の輸入再開は両国とのFTA交渉において年明けに既に合意されていた事項にすぎないとするとともに、高水準の関税が引き下げられなければ輸入が再開されても米国の生産者にとって大きな経済的メリットはないとしている。
ジョハンズ農務長官とシュワブ通商代表は輸入再開を歓迎する声明を発表
コロンビアおよびペルーは、南米における米国産牛肉および牛肉製品の主要輸出先国であり、輸入禁止前の2003年には、米国から両国への輸出額は年間400万ドル(4億6,800万円:1ドル=117円)を超えていた。
シュワブ通商代表は、今回の牛肉の輸入再開について、「ペルーおよびコロンビアが米国の牛肉および牛肉製品について輸入市場を再開したことを歓迎するとともに、ほかの貿易相手国も両国と同様に、科学に基づく国際基準に従って輸入措置の決定を行うよう期待している。」とした。また、ジョハンズ農務長官は、「両国の輸入再開は、国際市場における米国産牛肉の取引再開に向けたわれわれの努力が進展していることを示すものである。米国の生産者は安全で高品質な自国の牛肉製品に誇りを持っており、われわれはこのような製品を南米および世界中の消費者に届ける機会を得たことを高く評価している。」とした。
NCBAは輸入再開を評価するも高水準の牛肉関税を懸念
NCBAは、昨年末から本年初めに行われた両国とのFTA交渉において、国際獣疫事務局(OIE)のガイドラインに基づき米国産牛肉の輸入を再開することが既に合意済みであったとする一方で、長期に及んだ輸入禁止ではあったが、ペルーについては10月25日、コロンビアについては同月31日に、月齢条件なしですべての牛肉製品の輸出が可能となったことは好ましいことであるとの考えを公表した。
また、今回の最終措置に至るまでの政府の努力に感謝する一方で、米国産牛肉に対する現行の関税率がペルーでは多くの品目で30%、コロンビアでは約80%であることに触れ、メルコスルの加盟国であるアルゼンチンやブラジルよりも高関税が課されている現状では米国の生産者にとって大きな経済的メリットはないが、今後、FTAの実施に伴う関税の引き下げにより、米国産牛肉の競争力が増すことに強い期待感を示した。
米国から韓国への牛肉輸出の開始と問題点
米国から韓国への牛肉輸出が10月末から再開されたことを受け、NCBAは、「骨片混入時の韓国政府の対応が読めない上、そもそも何を危険な骨片と考えているのかがわからないことが、輸出再開の障害となっている。」とするUSDA職員の発言を紹介した。
韓国向けの骨なし牛肉については、9月7日にジョハンズ農務長官が韓国政府の輸入再開の決定を公表していたものの、実際には輸出はこれまで行われていなかった。
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