ベトナム北部の酪農地域、モクチョウとバビ



ひとくちMemo

 近年、ベトナムは日本など海外からの投資の増加などにより経済成長が持続しており、乳製品や食肉などの消費が伸びている。
  首都ハノイの西方約200キロメートルの山岳地域にはモクチョウ(MocChau)という年間の平均気温が18度の酪農地域があり、ハノイへの乳製品供給拠点となっている。またハノイの北西60キロメートルにバビ(Bavi)山地域があり、山麓には1958年から酪農が導入され、近年は日本からの酪農に関する技術援助の拠点や牛のAIセンターなどがある酪農地帯となっている。







 モクチョウはハノイの西方約200キロメートルの山岳地帯の高地にある。年間の平均気温は18度と比較的冷涼で、1970年代から酪農の導入が進められた。現在この地域に3,500頭の乳牛が飼養されている。この地域では、牧草地1ヘクタール当たり、4〜5頭の乳牛の飼養が可能であるという。


   
刈り取った牧草の輸送手段として水牛が使用されている
 乳牛は舎飼いされている。餌槽の様式はキューバからの技術援助によるものとされる。ホルスタインフリージアン(HF)の純粋種も飼養されている。


   
 モクチョウにある乳業会社の1つ、モクチョウミルクでは2004年に新工場も建設され、乳飲料を製造し、主にハノイに出荷している。「原料は100%生乳」を特徴としている。
工場内の乳製品の包装工程。1日当たり13トンが加工されている。



 Bavi(バビ:ベトナム語で3つの山の意味)の遠景。周辺に酪農地帯が広がる。


   
 ハノイからバビに向かう幹線道路の道端、SUA(スワ:ベトナム語で乳の意味)の看板が立ち並んでいる。道脇には乳製品の他に地鶏の看板が林立してさながら「畜産街道」の趣がある。
 街道筋ではヨーグルトやプリン、乾燥した練乳などもお土産として売られている。販売店が自ら製造する場合が多く、乳業会社の集乳量が減少する原因になっていると言われている。




 牧草展示場で説明を行う現地スタッフ。



 農家での搾乳風景、朝夕2回搾乳され、生乳はミルクステーションへ運ばれる。
バビ地域で飼養されている乳牛は在来種を基にした品種とHFとの交雑種で、HFの血量が高いほど泌乳能力があるが、暑熱に弱いとされる。この農家では雇用労働者によって搾乳されている。
 
 バビにある、牛牧草研究センターの門、この中に日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)が行っている酪農支援技術協力の拠点の1つがある。
 
 
 
 
   
 バビから25キロメートルほど離れたモンカダの牛人工授精センターの門表示。年間80万ドースの精液ストローを製造し、ベトナム北部を中心に販売している。製造割合は肉牛が65%、乳牛が35%である。
交配系統図:在来種と外国種のF1に外国種を掛ける三元交配を表している。
   
   
   
主要種雄牛のブラーマン。
設備の多くは日本からの援助(ODA)によっている。
   
   
   
ストロー運搬用容器、液体窒素が使用される。
肉用牛の放牧風景、水牛も一緒である。

(シンガポール駐在員事務所 斎藤 孝宏、 林 義隆)

元のページに戻る