豪州の2011/12年度までの乳製品生産量、粉乳類を中心に増加基調


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 主要乳製品の生産量、08/09年度以降は一貫して増加の見込み ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)が四半期ごとに公表する農産品需給予測によると、豪州の2011/12年度(7〜6月)までの主要乳製品の生産に関する予測は以下のとおりである(生乳の生産量および価格に関しては2007年5月号を参照)。それによると、いずれの乳製品も、2006年中盤から発生した今回の干ばつにより、2007/08年度を底としていったんは減少するものの、その後は増加に転じ2011/12年度まで一貫して増加すると予測されている。

乳製品生産量の推移
資料:ABARE
注:06/07年度は暫定値、07/08年度以降は予測値


● ● ● 主要乳製品の生産動向 ● ● ●

 ・脱脂粉乳
 近年は国際市場で脱脂粉乳の需要が高まる一方、EU産を中心に供給量が減少していることから、国際価格は2006/07年度から急騰する局面を迎えている。脱脂粉乳の需要は所得の増大により特にアジア地域および東欧の途上国で高まっているとされるが、こうした海外からの需要が増大することにより、豪州の2011/12年度における脱脂粉乳の生産量は、2005/06年度と比較して12.3%増の23万8千トンとかなり大きく増加すると予測されている。

・バター
  2009/10年度以降は、米国や欧州のバターに対する需要の減退および豪州をはじめ、ニュージーランド、インド、ウクライナなどからの輸出増が見込まれることから、国際価格は低落傾向で推移するとされる。2011/12年度の生産量は、2005/06年度と比較して8.2%増の15万8千トンとかなりの程度増加すると予測されている。

・チーズ
  世界のチーズ輸入において、2004年までは日本が首位であったが、2005年にはロシアが石油や天然ガスなどのエネルギー輸出による購買力の増大により、日本を追い抜き首位に立った。ABAREは、ロシアやメキシコ、韓国をはじめ、海外のチーズ需要の増加は今後も続くと予測しており、2011/12年度の生産量は2005/06年度と比較して3.2%増の38万5千トンとやや増加すると試算されている。

  なお、今回のセンサスでは、2005/06〜11/12年度の期間における生産量の増加率は、主要乳製品の中ではチーズが最低となっている。


● ● ● かんがい用水の確保が喫緊の課題 ● ● ●

  ビクトリア州は、その生乳生産が全体の65%を占める国内で最大の酪農地域である。ABAREは今後の豪州の牛乳乳製品生産を左右するものとしてビクトリア州北部を中心とした降雨状況を挙げ、今後数年間の降雨量が同国の酪農業に大きく影響を及ぼすと分析している。なお、ABAREは、この10年間で同国の酪農地域がかんがい用水が安易に入手でき、地価も安価なマレー・ダ−リング盆地の南部地域に移転する傾向が強まっているとしている。


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