2006年の脱脂粉乳生産量、前年比9.1%減の75万6千トン


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 高付加価値製品の生産増が主な要因 ● ● ●

   ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、2006年のEU15カ国の脱脂粉乳生産量は、前年比9.1%減の75万6千トンとかなりの程度減少した。生産量を月ごとに見ると、前年を上回ったのは11月のみであり、通年でこうしたトレンドが続いた。

  2005年の生産量は、脱脂粉乳の飼料利用が堅調であったことなどから、同1.2%増の83万2千トンとほぼ平年並みとなった。しかし、生乳生産割当(クオータ)制度を背景として生乳生産量が安定して推移する中で、域内外で需要が増大するチーズなど高付加価値乳製品の生産が増大する傾向にあることなどから、2006年は大きく減少したものと思われる。


● ● ● ほとんどの主要生産国で減少 ● ● ●

  2006年の生産状況を国別に見ると、脱脂粉乳の生産がEUで最も盛んなフランスが前年比1.8%減の27万トンとなったほか、第2位のドイツが同17.6%減の19万1千トンと大幅に減少した。第3位のアイルランドは上位国の中では唯一増加したものの、2004年5月に新規加盟した10カ国の中で最も生産量の多いポーランドは、同11.2%減の12万4千トンとかなり大きく減少している。
 
EU主要国の脱脂粉乳生産量
資料:ZMP
注:2006年は暫定値


● ● ● 2006年9月以降、脱脂粉乳の国際価格の急上昇続く ● ● ●

  豪州、米国、南米といったほかの主要な脱脂粉乳生産国の状況を見ると、長引く干ばつによる生産の減少やそれぞれのタイトな国内需給などを背景に、これらの国々の供給能力は引き続き伸びないと考えられる。このことから、国際市場におけるEU産脱脂粉乳の引き合いは今後も続くものと思われる。 

  こうした脱脂粉乳の国際的なひっ迫を受け、2006年9月よりEU産脱脂粉乳の国際価格の急上昇が続いている。2007年に入るとその上昇率はますます大きくなり、2007年4月の国際価格は、前年同月比95.2%高の1トン当たり4,100ドル(約49万6千円:1ドル=121円)となっている。

  国際価格が上昇しているほかの要因としては、(1)脱脂粉乳の輸出補助金が2006年6月から完全撤廃されたこと、(2)ドルに対してユーロの上昇が続いていること、(3)大手トレイダーが将来的な価格上昇を目論んで買いを強めていること−などが挙げられる。

  また、現在の脱脂粉乳の介入買い入れ価格は1トン当たり1,746.9ユーロ(約28万6千円:1ユーロ=164円)であり、国際価格はこれより7割程度高い水準で推移していることから、今後も域内の脱脂粉乳は介入在庫より輸出市場へ仕向けられる状況が続くと思われる。なお、脱脂粉乳の介入在庫量は、2006年3月以降は皆無となっている。

元のページに戻る