養豚振興に多くの課題 ● ラオス


AI再発で豚肉消費が増加

 今年に入り東アジアから東南アジア各国で鳥インフルエンザ(AI)の再発が報告されているが、ラオスにおいても首都ビエンチャンにおいて2月初めにAIの再発生が報告された。前回の発生は2004年であり、人的な被害は報告されなかったが、今回の発生では既に2名が死亡している。このため、食肉の消費が鶏肉から豚肉にシフトしているとされている。2005年の同国での1人当たりの推定食肉消費量は、豚肉8キログラム、牛肉6.6キログラム、鶏肉6キログラムとされ、魚は年間14.5キログラムとなっている。人口の多い首都のビエンチャンでは、1日当たり約25トンの豚肉が消費されているが、そのうちの7割が国産で、3割は輸入豚肉であるとされている。


政府は養豚振興を図るが多くの課題

 このような中、政府は養豚を振興して国産豚肉の供給を増やしたいとしている。政府の統計によれば、同国の豚飼養頭数は2000年に145万頭であったものが2005年には183万頭に増加しているが、その8割は庭先養豚による1〜2頭の飼養であり、残る2割が企業的経営によるものとされている。

  政府は、同国における養豚について、(1)今後、都市部での豚肉需要の増加が見込めること、(2)外国種のハイブリッドを導入することにより生産性を上げられること、(3)同様に飼料の改善によって生産性が上げられること−などから、生産の拡大は可能としている。一方、課題としては、(1)輸入品種の導入による豚コレラなどの疾病の侵入が懸念されること、(2)種豚を輸入に依存せざるを得ないこと、(3)飼養施設が不十分なこと。(4)飼料価格の上昇が生産コストなどに影響し、価格の安い魚に消費が移る可能性があること、(5)アセアン自由貿易圏(AFTA)が2008年に発効し、豚肉の輸入がより容易になること−などを挙げている。


周辺国から豚肉が流入

 同国は5カ国と国境を接する内陸国であるため、不十分な国境管理下で、周辺国からの肉豚および豚肉が流入しており、同国の豚肉需要の不足分を補っているとされる。中でも主都のビエンチャンはメコン川を挟んでタイと隣接しており、地理的にもタイからの豚肉輸入が多いとされている。ドルベースに換算した生体1キログラム当たりの両国の生産者価格の比較は下図のとおりであり、2006年はタイの価格はラオスのそれを上回っていたが、2007年に入ってはこれが逆転するなど価格差は縮小しており、タイからラオスにさらに輸出しやすい状況が生じている。

豚生産者価格(ラオス、タイ)


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