目標は2010年までに1億5千万トン以上中国農業部は4月9日に記者会見を開き、トウモロコシの増産を加速させると発表した。席上、農業部の陳萌山・種植業管理司長(種植=栽培)は、その手段として、優良な高収量品種の普及推進と合理的な栽培密度の向上を核とした総合的な技術の組み合わせが重要であると強調した。そして、2010年までに全国のトウモロコシ栽培面積を4億ムー(約2,667万ヘクタール:1ムー=15分の1ヘクタール)以上、1ムー当たりの収量を750斤(約375キログラム:1斤=約500グラム)以上、総生産量を3千億斤(約1億5千万トン)以上とするよう尽力するとした。陳種植業管理司長はまた、最近の中国における畜産業の発展がトウモロコシ消費の急増を招き、国内需給がこれまでの供給過多から需給均衡へと転換しつつあるとした上で、今後は需給がひっ迫する可能性があることを示唆した。さらに、中国は世界第2位のトウモロコシ生産国、かつ消費国でもあることから、トウモロコシの国際貿易量が減少しつつあるという状況下にあって、中国は国内生産に立脚したトウモロコシの増産により、効果的な供給を図っていく必要があるとした。その上で、栽培面積の拡大余力には限りがあるため、トウモロコシの増産に当たっては、いまだ先進国に比べて大きな差があるが、その分だけ潜在力の大きい単収の増加によるべきであるとした。 なお、識者によると、中国におけるトウモロコシの作付面積の拡大は、主として他の作目からの転換によるものである。 図1 中国における農作物別作付面積の比較
図2 中国と米国のトウモロコシ単収の推移 トウモロコシの作付けおよび生産量を上方修正中国国家糧油信息中心は4月、最新の情報に基づく穀物の生産・需給に関する予測を発表した。そのうちトウモロコシについては、1月発表の予測値に比べ、2007年の作付面積を25万ヘクタール増の2,760万ヘクタール、生産量を200万トン増の1億4,700万トンとするなど、予測値の上方修正が行われた。一方、トウモロコシ価格の上昇を見込んだ農家の生産シフトなどの影響で、2007年の大豆の作付面積は前年比5.5%減、実数にして50万ヘクタール減の860万ヘクタールとされ、8年ぶりに900万ヘクタール台を下回る予測となった。これにより、同年の大豆生産量は前年を50万トン下回る1,500万トンと予測され、2年連続の減少と見込まれた。 表1 最近の中国のトウモロコシと大豆の作付面積 表2 最近の中国トウモロコシ需給表 表3 中国の工業用トウモロコシ消費量の推移 図3 中国のトウモロコシ平均卸売価格の推移
農業部が農家のメタンガス利用を促進世界中がバイオ燃料生産に沸き返る中、エネルギー対策の一環として、中国農業部は先ごろ、「全国農村メタンガスプロジェクト(2006〜2010年)」を発表した。このプロジェクトは、家畜排せつ物などの発酵の過程で生ずるメタンガスをエネルギーとして利用し、併せて発酵後のたい肥の有効利用により、化学肥料などの使用を大幅に削減しようとするものである。農業部は今後、農家のメタンガス利用と畜産農場などでの生産、農村部におけるメタンガス供給システムの構築を加速させ、2010年までに全国4千万戸の農家でのメタンガス利用を目指しており、これにより毎年約154億立方メートルのメタンガス(農業部によると石炭2,420万トン分に相当)が生産・利用できるとしている。現地報道によると、2003〜2006年にかけ、中国政府は55億元(約853円:1元=15.5円)の国債発行により、全国4万8千の農村に573万カ所のメタン発酵設備を設置したといわれる。これによってメタンガスの利用農家は、2006年末時点で全国約2,260万戸に達したとされる。 |
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