米国農務省、2007年のトウモロコシ作付予測を上方修正


2007年のトウモロコシ作付面積は1944年以来の高水準と予測

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は3月30日、米国内における生産者への意向調査に基づく2007年の主要農作物作付予測を公表した。

  この予測によると、同年のトウモロコシ作付面積は、前年比15%増の9,045万エーカーと見込まれ、本年2月に同省経済調査局(ERS)が公表した予測に比べさらに5%程度上方修正される結果となった。USDAでは、本年のトウモロコシの作付けについて、昨年後半以降の価格の高騰が生産者の増産意欲を助長しているため、コーンベルト地帯やグレートプレインズを中心にほぼすべての州で増大し、9,550万エーカーに作付けされた1944年以来の高水準となるものと見込んでいる。

  また、大豆の作付面積は、トウモロコシの作付けが増大することにより、前年比11%減の6,714万エーカーとかなり大きく減少するものと予測されている。なお、その他主要な飼料作物である小麦、ソルガム、大麦、エンバク(オーツ)については、それぞれ同5%増(6,030万エーカー)、同9%増(711万エーカー)、同7%増(370万エーカー)、同3%減(403万エーカー)と見込まれている。


USDA、CRP事業の早期契約解除に対する違約金免除は実施しない方針

 ジョハンズ米農務長官は同日、この調査結果を受け、トウモロコシ需要の拡大に対応するための作付状況の変化が見受けられるとし、USDAは今回、土壌保全留保計画(CRP)に関する農業者からの早期契約解除に対する違約金の免除を実施しない方針であることを公表した。

  このCRP事業は、環境保全政策(Conservation)の一環として85年農業法により創設され、土壌流出の防止および野生動物の生息地の確保などを目的に、農業者が政府と一定期間(10〜15年)において、特定の農地を草地や林地などへ転換(休耕)する契約を結ぶことにより、一定の補助金を得るものである。USDAによると、CRP事業は現在、米国の耕地面積の約1割に当たる3,600万エーカー以上の農地を対象としており、農業分野では最大の環境保全プログラムである。

  同農務長官は、今回の公表に当たり、「本日公表された作付予測が、米国のトウモロコシ供給に対する懸念を軽減するものと信じており、今後も、農業部門における需給バランスを保つため、必要に応じてUSDAの政策を調整していく所存である」と述べた。


トウモロコシ先物取引価格は一転下落局面へ

  一方、今回の作付予測が公表された30日のシカゴ商品取引所(CBOT)におけるトウモロコシ価格(期近価格)は、前日比20セント安(ストップ安)の1ブッシェル当たり3.745ドル(トン当たり17,800円:1ドル=121円)となった。トウモロコシのシカゴ相場は、本年1月半ば以降ほぼ連続して同4.00ドルを上回って推移していたものの、3月後半以降下落局面に転じ、4月2日には前日比19.75セント安、さらに同3日の終値は、同8.5セント安の3.4625ドル(同16,500円)となっている。

  このトウモロコシ先物価格の下落は、今回公表された作付予測の影響が大きいとされているが、今回の予測は、あくまでも生産者に対する意向調査の結果であり、実際の作付けはまだ終わっていないことから、米国におけるトウモロコシなど主要飼料穀物の生産動向には今後も注目が集まるものと思われる。

元のページに戻る