米国、韓国とのFTA交渉に合意


 米国通商代表部(USTR)は4月2日、ソウルで行われていた米韓両国政府による自由貿易協定(FTA)交渉が、同月1日に合意に至ったことを公表した。シュワブ同代表は同日、「今回の合意は、両国にとって歴史的な瞬間であり、今後、米国の農業者などへ新たな市場拡大を提供することとなる」と述べた。

 米韓FTA交渉は、昨年2月に交渉の開始が公表された後、同年6月より本格的な交渉が行われており、米国にとって、ここ10年以上において最も重要な自由貿易交渉と位置付けられていた。



牛肉・豚肉は、段階的に関税を撤廃

 USDAによると、2004〜2006年における韓国向けの農産物平均輸出額は32億ドル(3,872億円:1ドル=121円)で、米国にとって現在、同国は6番目に大きな輸出市場である。今回の合意により、同国向け輸出額の約3分の2に当たる小麦、トウモロコシ、大豆、綿花、ワインなど19億1,000万ドル(2,311億円)相当の農産物輸出に対する関税が直ちに撤廃されるものとされている。

  また、USDAやNMA(全国食肉協会)などの公表資料によると、主要畜産物については、牛肉は15年(20年間のセーフガード措置を適用)、豚肉は10年(同措置は適用せず)、鶏肉は10〜12年をかけて段階的に関税が撤廃され、さらに、全粉乳および食品向けホエイなどについては、低税率で輸出可能な関税割当枠が与えられるものとされている。

  ジョハンズ米農務長官は同月5日、この合意を受け、「米韓FTAは、米国の農産物にとって多くの有益な措置を包括しているものの、同国が、科学に基づく国際的なガイドラインに従って米国産牛肉に市場を解放しない限り、議会での批准は困難であるものと確信している」とする声明を公表した。

  また、米上院財政委員長のボーカス議員をはじめとする有力議員も、牛肉の完全輸入解禁なくしてFTA批准なしとの立場を相次いで明確にした。


豚肉・酪農団体は賛成、牛肉団体は反対の立場を表明

 米国における主要畜産団体は同月2日、米韓FTA合意に対するコメントを一斉に公表した。

  全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、韓国政府が米国産牛肉の輸入禁止を正当化する理由は一切ないと主張し、今後90日間の動向を注視した上で、両国間において、OIE基準に基づく牛肉貿易が再開され次第この協定を支持するものの、そうでない場合には、従来通り反対の意向であることを表明した。

  また、アメリカ食肉協会(AMI)は、韓国が、今回の交渉に対し真摯に取り組んできたことを評価するものの、米国産牛肉に対して市場が無条件に開放されるまでは、FTA承認を米議会に提出すべきではないとした。

  一方、全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、今回の合意により、豚肉部門にとって野心的な成果を達成したとして、ブッシュ米大統領および米国の貿易交渉者を賞賛する声明を公表した。NPPCは、このFTAによる新たな豚肉輸出により、数億ドルの効果が期待出来るとし、今後、米議会による承認に向け懸命に取り組む意向であるとしている。

  また、全国生乳生産者連盟(NMPF)および米国乳製品輸出協会(USDEC)は、いくつかの農産品に関しては、韓国の今後の対応が必要とした上で、関税の撤廃を通じ、チーズ、生乳、ホエイポウダー、無糖練乳、バター、アイスクリームなど米国の牛乳・乳製品のための市場アクセスの拡大が期待出来ることから、今回の合意を高く評価するとしている。


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