脱脂粉乳に続き、全粉乳の輸出補助金もゼロに


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 全粉乳の輸出補助金、短期間でゼロに引き下げ ● ● ●

 欧州委員会は1月25日、牛乳および乳製品に係る輸出補助金を修正する規則を適用し、昨年6月の脱脂粉乳に引き続き全粉乳の輸出補助金をゼロとした。全粉乳の輸出補助金は、2005年5月〜2006年10月の期間は100キログラム当たり50ユーロ台を維持したが、11月に31ユーロ(約5千円:1ユーロ=159円)、12月に21ユーロ(約3千円)と国際価格の高騰とともに短期間に大幅に削減され、2007年1月にはゼロまで引き下げられた。

脱脂粉乳の域内価格および輸出補助金単価の推移

資料: ZMP、欧州委員会
注1: 価格はドイツの工場出荷価格
注2: 輸出補助金の単価は各月末のもの


全粉乳の域内価格および輸出補助金単価の推移

資料: ZMP、欧州委員会
注1: 価格はオランダ公定価格
注2: 輸出補助金の単価は各月末のもの


● ● ● 粉乳類の国際価格は記録的な高値で推移 ● ● ●

 現在、EUの脱脂粉乳および全粉乳の国際価格は記録的な高値で推移している。これは、中国を中心としたアジアやロシア経済の急成長による需要の増加に加え、豪州での干ばつの深刻化による生乳生産量の減少が主因とされている。また、EU域内においても、2006年の生乳生産量は前年に比べわずかに減少すると見込まれる中、好調なチーズ生産向け生乳利用の増加などを背景に2006年1〜10月のEU15カ国における脱脂粉乳および全粉乳の生産量はそれぞれ、前年同期比10.0%減の65万3千トン、同5.1%減の60万5千トンと前年同期を割り込んでいる。

 一方で、域内需要が好調なことから、粉乳類の価格は高騰を続けている。EUから輸出されるバターの2006年10〜12月における国際価格(1トン当たり)の平均は前年同期比8.6%安の1,808ドル(22万1千円:1ドル=122円)と前年よりかなりの程度減少したのに対し、脱脂粉乳は同18.0%高の2,592ドル(31万6千円)、全粉乳は同11.0%高の2,437ドル(29万7千円)と逆に前年同期を上回っている。

全粉乳の域内価格および輸出補助金単価の推移

資料: ZMP

 


● ● ● 欧州委員会は2007年の乳製品生産を好調と予測 ● ● ●

 2007年1月下旬、イギリスの酪農および乳業に係る横断的組織のデイリーUKは、欧州委員会との会談に関するコメントを公表しているが、この中で同委員会は、EUの粉乳市場は域内外の強い需要の中で2007年も好調が続くと予測している。また、輸出補助金はEU域内の市場を管理するための政策であるが、本来、EUの酪農分野は政策的な支援なしに持続的に発展していくべきとし、粉乳類の輸出補助金を短期間にゼロまで削減した必然性を訴えた。


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