欧州理事会、牛乳・乳製品に関する制度の簡素化提案に合意


 欧州理事会は9月26日、学校給食向け牛乳助成制度の改正および市場の統一を図るための共通市場制度(Common Market Organisations:CMO)の乳・乳製品分野での簡素化を目的とした政策パッケージ案について合意した。


学校給食向け牛乳助成の統一単価の引き上げ

 現在の学校給食向け牛乳助成制度における複雑な助成単価を簡素化し、一律化する欧州委員会の提案そのものについては欧州議会で9月5日に合意した。ただし、助成単価の水準については、よりバランスの取れた栄養摂取を可能とするように、提案の100キログラム当たり16.11ユーロ(2,658円、1ユーロ=165円)から同18.15ユーロ(2,995円)へと引き上げるべきとし、欧州理事会においても、この引き上げた単価で最終的に合意した。


脱脂粉乳などの民間在庫補助の廃止

 市場価格の安定を図るためのクリームや脱脂粉乳の民間在庫補助制度については、現在、ほとんど機能していないとして欧州委員会は廃止を提案していた。

 これに対し、欧州議会では、本制度は市場価格安定の「セーフティネット」として維持が必要とし廃止に反対したが、最終的に欧州理事会は廃止に合意した。


飲用乳の区分適用の緩和

 現在、域内で生産および販売できる飲用乳の区分は、(1)脱脂乳(乳脂肪率0.5%以下)、(2)部分脱脂乳(同1.5〜1.8%)、(3)全乳(同3.5%以上)となっている。欧州委員会は、近年の食習慣の変化や市場のニーズに応じた生産を目的として、それぞれの区分における乳脂肪率について、上下0.2%拡大するとともに、脂肪率を明示する場合には、前述の3区分以外での飲用乳の生産・販売を認める提案を行っていた。

 これ対し、欧州議会では、乳脂肪率の拡大は認めないものの、脂肪率を明示する場合には、前述の3区分以外での飲用乳の生産・販売を認めることで合意し、欧州理事会においても同様の内容で合意した。

 なお、そのほか、以下については、欧州委員会の提案に無修正で合意した。

  ・ 粉乳・れん乳中のたんぱく質含有率を、国際規格であるコーデックス規格と同じ34%へと変更することに伴う脱脂粉乳の介入価格の引き下げ(2.8%減の100キログラム当たり169.80ユーロへ引き下げ)
 ・ バターの介入買い入れ制度について、買い入れ開始と終了の基準を簡素化
 ・ バターの介入買い入れ規格を緩和し、全加盟国で導入できるものに変更
 ・ 乳・乳製品の輸入について、輸入枠の管理のために課していた、輸入ライセンスの取得と許可数量の全量輸入義務を廃止
 ・ 軍隊用のバター買い入れ助成制度の廃止

 新たな乳・乳製品分野での簡素化を目的とした政策パッケージについては、2008年1月1日より適用されるが、脱脂粉乳の介入価格の引き下げおよび学校給食向け牛乳助成の新たな助成単価については、2008年9月1日からの適用となる。


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