2007/08年度の冬穀物生産見通し、大幅な下方修正(豪州)


3,701万トンから2,559万トンに下方修正、降雨量不足が影響

 豪州農業資源経済局(ABARE)は9月18日、2007/08年度(7〜6月)穀物生産見通しについて最新の予測数値を発表し、総生産量を2,559万トンと前回6月発表時の3,701万トンから大きく下方修正した。

 前年度は、百年に一度といわれる大規模な干ばつの影響で小麦などの冬穀物生産は前年度比62%減の1,571万トンへと大きく減少し、94/95年度の干ばつ時に次ぐ低い水準となった。しかし、今年度は、冬穀物のは種期に当たる4月下旬から5月中旬にかけて主要生産地帯でまとまった降雨が記録され、その後の気象状況も平年並みで推移したことから、生産の回復が期待されていた。

 しかし、今回、生産量を下方修正したことについてABAREでは、冬穀物の育成期に当たる6〜8月の間、主要生産地であるニューサウスウェールズ(NSW)州などの降雨量が、例年に比べて大きく不足したことが生産に影響を与えたとしている。

 なお、生産量は、前年度が干ばつにより大きく落ち込んだことから、前年比62.9%の増加見通しとなっている。


過去5年平均比で3割程度の減少

 冬穀物の生産見通しを品目別に見ると、小麦が前年度比157%となる1,548万トン(前回6月発表時は2,249万トン)、大麦は同159%の590万トン(同905万トン)、カノーラは同220%の112万トン(同140万トン)としている。ただし、これら生産量は、過去5カ年度の平均と比べるといずれも3割程度下回る。

 また、生産量を地域(州)別に見ると、最大の生産量を誇るNSW州が前年度比192%の588万トン(前回6月発表時は1,144万トン)、西オーストラリア(WA)州が同115%の870万トン(同1,054万トン)、南オーストラリア(SA)州が同295%の543万トン(同697万トン)、ビクトリア(VIC)州が同379%の515万トン(同625万トン)、クイーンズランド(QLD)州が同136%の114万トン(同109万トン)としている。

07/08年度の主要冬穀物の生産見通し


飼料穀物価格は上昇予測、フィードロットなど牛肉生産は深刻な影響

 前年度の干ばつの影響により豪州国内の飼料穀物価格は、「狂ったような価格(業界関係者談)」といわれるほどの高値が続いているが、今回の下方修正見通しを受けて、価格はさらに上昇との見方も出始めている。

 フィードロットなどでの肉牛生産に用いられる飼料用大麦価格(シドニー市場)を見ると、大規模な干ばつ以前の2006年1〜3月期の価格はトン当たり171豪ドル(1万6,758円:1豪ドル=104円)であったのに対し、2006年後半から徐々に値を上げ続けた結果、2007年6〜9月期の価格はトン当たり326豪ドル(3万1,948円)に達し、2倍近い値上げとなっている。

 穀物業界関係者の話では、VIC北部やSA州の主要生産地帯にまとまった降雨がなく、一部の穀物生産者は生産をあきらめ、牧草用として刈り込みを始めているとしている。今後の降雨状況によっては、冬穀物生産は、より一層の減少も予想される。

 また、飼料業界の見通しでは、供給量の減少から飼料用大麦価格はトン当たり400豪ドル(3万9,200円)近くまで上昇するとの見方もあり、すでに「出荷価格の引き上げなくしてはフィードロットでの牛肉生産は不可能(牛肉関係者談)」との声も出ており、畜産業界にとって深刻な事態となっている。


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