鶏肉の主要輸出先は日本とEU
タイの2006年における鶏肉輸出量は、冷凍品および調製品を合わせて前年比10%増の約26万トンとなっている。タイ産の冷凍品については、2004年に同国で鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認されて以降、日本やEU各国などにより輸入停止措置が実施されている。現在、輸出量全体に占める冷凍品の割合は約3%であり、主な輸出先はベトナムとなっている。一方、加熱処理された鶏肉調製品については、主要国に輸入再開が認められた結果、輸出数量はおおむね増加傾向で推移しており、輸出の9割が日本とEU向けとなっている。タイ政府は、日本とEU向け輸出数量の拡大には意欲を示しているものの、一方では新規市場を開拓することにより、日本とEUに対する輸出依存度を減少させたい意向も表明している。そのため、日本を除くアジア諸国や中東地域などへ向けた輸出拡大を目指している。
中東向け輸出はAI発生などにより縮小
タイから中東地域に対する鶏肉輸出量については、冷凍品および鶏肉調製品を合わせて2006年が11トン、2005年が195トンとなっている。同地域向けの冷凍品輸出については2005年4月以降実績がなく、鶏肉調製品についても2006年の実績はヨルダン向けのみとなっている。もともと、タイの鶏肉輸出量に占める中東地域のシェアは全体の1%未満であったが、タイにおけるAI発生に伴う冷凍品の輸入停止措置やハラル処理をめぐる認証問題などもあり、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする湾岸協力会議(GCC)加盟国などへの輸出が2005年以降停止している。このため、GCC加盟国を含む同地域への輸出再開などが課題となっており、タイでは同国のイスラム中央委員会を中心として、UAEとの間で鶏肉調製品の輸出再開に向けた交渉が行われ、昨年9月には、UAEとの間で輸出再開に向けた条件などの合意を得ていた。(「畜産の情報 海外編」平成19年5月号参照)。
UAEの承認により中東市場への輸出再開へ
このような中、タイ農業・協同組合省(MOAC)は8月3日、UAEがタイのハラル認証システムおよび同国産鶏肉調製品の輸入を承認した旨発表した。UAEの担当者による検査は6月に実施され、タイ国内の食鳥処理施設24カ所、加工施設36カ所が承認されたとしている。また、UAEに対する輸出許可が得られたことにより、同国のほかGCC加盟国であるサウジアラビア、カタール、クウェート、オマーンおよびバーレーンに対しても鶏肉調製品の輸出再開が可能になるとしている。このため、MOACはGCC加盟国に向けた鶏肉調製品の輸出について、当面は輸出量約1万トン、輸出額約4億バーツ(約15億円:1バーツ=3.75円)を見込んでいるものの、将来的には輸出量4万トン、輸出額約35億バーツ(約131億円)を目指すとしている。
タイ鶏肉輸出量推移
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