● ● ● 生乳生産量は安定的に推移 ● ● ●
米国農務省(USDA)によると、2007年の生乳生産量は前年比1.4%増の8,359万7千トン、2008年には同2.2%増の8,545万6千トンと今後も安定的に推移するものと予測されている。その要因として、2007年以降の生乳の農家販売価格の高騰に加えて、牧草の生産量増加によるアルファルファ価格の低下が今後見込まれることなどが挙げられる。2007年7月の生乳農家販売価格(飲用向け乳価と加工原料乳価の加重平均)は、前年同月比85.5%高の100ポンド当たり21.7ドル(1キログラム当たり57円:1ドル=120円)と、過去最高の20ドル台を記録するなど乳価の高値が生産者の生産意欲につながっているとみられる。
生乳の農家販売価格の推移
● ● ● 2007年の生乳農家販売価格は高値で推移 ● ● ●
このように生乳農家販売価格が上昇基調で推移している背景には、米国産乳製品への輸出需要の拡大に加え、乳製品の国際価格の上昇などがある。米国の乳製品輸出は、為替が米ドル安で推移していることも後押しし、堅調に推移している。中でも脱脂粉乳の輸出は、メキシコ向けは前年比38.2%減少したものの、東南アジアを中心に好調に推移しており、過去5年間の脱脂粉乳の生産量に占める輸出シェアを見ると、2002年の10.3%から2006年には51.6%にまで増加するなど、より利益幅の大きい輸出向けへ移行していることがうかがえる。
このようなことから、2007年通年の生乳農家販売価格は、前年比46.5〜48.8%高の100ポンド当たり19.0〜19.3ドル(1キログラム当たり50〜51円)と大幅な上昇が見込まれている。なお、2008年の生乳農家販売価格は、2007年をやや下回る100ポンド当たり18.2〜19.2ドル(同48〜51円)が予測されている。
脱脂粉乳の生産量に占める輸出シェアの推移
● ● ● 乳価の上昇で、乳用経産牛のと畜も減少の見込み ● ● ●
USDAの需給予測によると、最近の記録的な乳価の上昇を受けて、乳用経産牛のと畜頭数は減少することが見込まれている。また、牛の飼養動向調査によると2007年7月1日時点の、乳用更新牛は、前年同月比2.6%増の390万頭となったことなどから、2007年の乳用経産牛は前年とほぼ同水準の912万頭、2008年には913万頭にまで回復することが見込まれている。 |