2014年までの豚肉生産量は増加傾向で推移する見込み


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は2007年7月31日、2007〜2014年におけるEUの主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。今回の見通しは2007年6月までの需給統計を基に行われており、ドーハ・ラウンド交渉の影響などは考慮されていない。

 豚肉需給に係る需給予測は以下の通り。


● ● ● 2014年の域内豚肉生産量、2006年比で3.2%増の2,256万トンの予測 ● ● ●

 今後の中期的な豚肉生産は、域内外のおう盛な豚肉需要を受けて増加傾向で推移し、2014年には2006年と比べて3.2%増の2,256万トンに達すると予測されている。しかし、健康志向を反映した鶏肉との競合や世界的にひっ迫傾向が強い飼料の価格高騰から、その伸び率は90年代に比べて鈍化するとされている。

 なお、地域別にみると、豚肉生産はEUのほとんどの地域で増加するとされているが、2007年1月にEUに加盟した2カ国(EU2)においては、全体の2%程度にすぎないものの、同12.1%減と唯一減少するとされている。


● ● ● 豚肉消費量も増加傾向で推移する見込み ● ● ●

 豚肉はEU域内で最も食されている食肉であり、豚肉消費量は今後も一貫して増加すると見込まれている。2014年の豚肉消費量は、2006年と比較して4.3%増の2,144万トンと予測されている。2014年の1人当たり食肉消費量は、豚肉が同3.1%増の43.2キログラム、牛肉が同4.0%減の16.6キログラム、鶏肉が同10.5%増の24.3キログラムになると予想されており、豚肉の伸びは鶏肉には及ばないものの、依然として鶏肉の二倍近い数量を維持するとされている。また、地域別の豚肉消費量は、従来の加盟国であるEU15および2004年5月に加盟したEU10がいずれも同2.8%の伸びにとどまるものの、EU2では加盟による経済成長およびそれに伴う購買力の上昇から同9.7%増の29.3キログラムと最も高い伸びを示している。


● ● ● 豚肉輸出は減少傾向 ● ● ●

 近年のEU27カ国の域外への豚肉輸出量は、ロシア経済の伸長を背景として増加し2006年にはピーク(141万トン)を迎えた。しかし、長引くユーロ高およびロシア市場を中心としたほかの低コスト生産国との競合の激化などで2007年以降は減少に向かうと推測されている。2014年の豚肉輸出量は、2006年と比較して18.2%減の115万4千トンと大幅に減少すると予測されている。こうした中で、域内向けの豚肉輸出は、域内経済の好調を反映して増加傾向で推移するとみられている。

EU27カ国の豚肉需給の推移(2005〜2014)


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