司法枠は前年度に引き続き2.8%
アルゼンチン農牧漁業食糧庁(SAGPyA)は6月29日、各食肉パッカーへのヒルトン枠の配分数量を決定したSAGPyA決議第269/2007号(6月27日付)を公表した。
アルゼンチンはEUから、一定基準を満たす骨なし高級生鮮牛肉に関する関税割当制度(通称ヒルトン枠)により、当年7月1日から翌年6月30日までの1年間に28,000トンが割り当てられている。
2007/08年度については、
・総枠から後述を差し引いた22,912トンを各食肉パッカーへ配分、ただし、このうち総枠の7%に当たる1,960トンは各州における肥育牛などの飼養頭数により比例配分の後、州内にあるEUへの輸出許可施設を有するパッカー間で配分される。
・食肉パッカーとブリーダー協会や生産者団体が実施する共同プロジェクトに対し、総枠の10%に当たる2,800トンを配分
・新たに認可された施設などに対し、1,400トンを配分
・暫定措置など(裁判判決などを根拠とした司法枠を含む)による割り当て分として888トン
なお、今年度については、全体の2.8%が司法枠として配分されている。
今回の算定では適用条件を緩和
これに先立ちSAGPyAは決議第247/2007号(6月14日付け)により、今年度のヒルトン枠の配分にかかる算定方法を変更している。今回の変更は、「2006、2007年においては国内市場への適正な価格での牛肉供給を維持するための政策により、ヒルトン枠以外の輸出が制限されたこと」によるとしている。これまでは過去3年間の各企業のヒルトン枠以外の牛肉の輸出実績について、各年の勘案比率に基づき配分してきたが、今回は以下の通りに変更されている。
・2004/05年度は、2004年5月1日から2005年4月30日の間の輸出額実績(FOBベース)
・2005/06年度は、2005年5月1日から2005年11月30日までの間の輸出額実績に1.714の係数を乗じて算定
・2006/07年度は、2006年5月から2007年4月の間の輸出額実績ではなく、2005/06年度
と同様の算定とする。
また、これまでは、前期間中のヒルトン枠以外の輸出量とヒルトン枠の割当量の比率は3:1とし、この比率が維持されなければ罰則が科せられたが、今年度は適用されないなど、ヒルトン枠申請の最低条件の中で適用されない項目が設定されており、継続されている輸出制限措置に対しての考慮がうかがえる。
司法枠の減少を評価
行政府内部監査院(SIGEN)の年次報告書によると、2005/06年度に国家農牧取引監督機構(ONCCA)が実施したヒルトン枠割り当て制度の改正により配分が正常化し、各食肉パッカーがさらに多くのヒルトン枠の配分を求める訴訟が減少したことを評価している。同報告書では、「同年度におけるパッカー企業へのヒルトン枠の配分は、輸出実績に応じた割合が増加し、2003/04年度には全体の51%を占めていた司法手続きによる配分が2005/06年度は10.3%まで減少した」と述べている。 |