06/07年度の酪農経営、干ばつで大幅な赤字に転落(豪州)


平均8万豪ドル超の赤字、前回の干ばつ時をも下回る結果

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月末、2006/07年度(7〜6月)における酪農の経営状況(見通し)を公表した。豪州では、100年に一度といわれる大規模な干ばつにより、同年度は農業に対する被害が深刻となる中で、特に酪農はその影響が最も大きかったとみられている。これによると、現金売上から現金支出を控除した農家現金収入は、酪農家当たり平均2万1,500豪ドル(225万8千円:1豪ドル=105円)と前年度に比べ75%減となり、また、そこから労働費などを控除した農家収益は、平均8万900豪ドル(849万5千円)の赤字と予測している。これは、1万7,900豪ドル(188万円)の黒字を計上した前年度から大幅に後退し、前回の大規模な干ばつ時(2002/03年度)をもさらに下回ることになる。


生産者乳価の引き上げは売上に寄与

 現金売上の内訳を見ると、2006/07年度の生乳売上高は、干ばつによる生産の減少にもかかわらず、前年度比6.7%減の40万豪ドル(4,200万円)を維持するとしている。これは、国際的な乳製品相場の上昇を背景に、一定量の生乳を確保したい乳業各社が生産者乳価を相次いで引き上げたことが大きく寄与している。このため、生乳売上額は前年度を下回ったものの、生産者乳価の引き上げにより好調な生乳生産を記録した2004/05年度の売上額水準を上回るとしている。また、干ばつにより酪農家が乳牛の飼養頭数を減らしたことで、乳牛の販売額も前年度に比べて増加した。なお、ABAREの見込みでは、酪農家での乳牛販売頭数が拡大したことで、2006/07年度の乳牛飼養頭数は、酪農家一戸当たり前年度比6.3%減の平均300頭(未経産を含む)と予想している。


放牧環境の悪化で粗飼料購入額は前年度比5割増

 一方、現金支出の内訳を見ると、粗飼料購入額の大幅な増加、また、人件費の上昇などから前年度比11%増の37万8,500豪ドル(3,974万円)としている。粗飼料については、干ばつにより生産量が減少する中で、乳牛の放牧環境の悪化に伴い酪農家の購入量が拡大したことから、価格は例年の倍近い水準にまで達した。粗飼料購入に対する酪農家一戸当たりの支出額は、前年度比52%増とみている。人件費については、近年の資源ブームに押されて都市部を中心に軒並み賃金上昇率の伸びが目立っていることから、特に酪農などの農業分野では、労働者を確保するための経費の負担増が経営を圧迫してきている。

 ABAREでは、高い生産者乳価により酪農家が生産増に意欲を見せたことで、2006/07年度の最終的な生乳生産量は、当初見込みの前年度比10%減までは減少しないとみている。


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