世界全体の小麦在庫は30年ぶり、米国は60年ぶりの低水準
米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Grain:World Markets and Trade(2008年2月))によると、史上最高値を更新し続ける小麦価格は、世界全体における小麦の生産量が、2006/07年度に続き2007/08年度も2005/06年度水準を回復していないとした上で、生産を上回る堅調な消費から、主要な輸出国の在庫が取り崩されたためとしている。このため、世界全体における2007/08年度末の小麦在庫は、前年度を12.3%下回る1億970万トンとなり、30年ぶりの低水準が見込まれている。
カナダ、欧州および豪州では、生産量の減少に加え輸出量も拡大しているため、在庫は積み上がらず、米国では、生産量は増加しているが、輸出ニーズが増えていることで輸出量が増加しているため、2007/08年度(6月〜翌年5月)末の小麦在庫は、前年度を40.4%下回る740万トンとなり、60年ぶりの低水準(在庫率は61年ぶり)が見込まれている。
世界の小麦需給
欧州、高値の小麦に代わりトウモロコシを
米国農務省経済調査局(USDA/ERS:Feed Outlook(2008年1月))および国連食糧農業機関(FAO:Food Outlook(2007年11月))によると、欧州では、小麦・大麦が、その経済性から穀物飼料原料の6割程度を占めており、わが国の配合飼料において原料の5割程度を占めるトウモロコシは、3割程度の利用にとどまっていた。しかし、2006年に発生した豪州の干ばつ以降、小麦、大麦価格が急騰したため、欧州では、2006/07年度以降これらに代わる穀物飼料として、相対的に割安となるトウモロコシ、ソルガムなどに一部切り替える動きが出ており、その需要の広がりが、世界全体における穀物貿易に少なからぬインパクトを与えているとの見方が示されている。
欧州(27カ国)では、トウモロコシは主としてブラジルから、ソルガムは米国から輸入され、2007/08年度(10月〜翌年9月)においては、それぞれ記録的となる1千万トンと4百万トンの輸入量が見込まれている。このため、同年度におけるブラジルからのトウモロコシの輸出量は過去最高となる9百万トンが、また、米国からのソルガムの輸出量は、16年ぶりの増加となる7百万トンが見込まれており、米国におけるソルガムの供給については、ひっ迫感が指摘されている。
欧州(EU-27カ国)の穀物輸入量
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