EUの生乳生産量は徐々に回復


◇絵でみる需給動向◇


EU25カ国の生乳生産量は前年同期をわずかに下回る

 ドイツ市場価格センター(ZMP)によれば、EU25カ国の2007年4〜12月の生乳生産量は前年同期比0.4%減と、依然、前年をわずかに下回る水準で推移している。ただし、11月には前年同期比0.2%増、12月には同0.4%増と回復傾向が拡大している。域内外の好調な乳製品需要を背景に生産者乳価が上昇するなど生乳生産増加のための環境が徐々に整いつつある。

主要国における生乳生産量(4〜12月)の動向


11月以降、生産回復を見せるフランス

 EUの上位5カ国の4〜12月の生産動向を見ると、ドイツ、イタリアに加え、9月以降生産の回復を見せているオランダは前年同期を上回って推移している。

 一方、英国とフランスについては、依然、前年同期を下回る状況が続いている。しかし、フランスでは11月以降の生産回復が目覚ましい。フランス農漁業省統計局(AGRESTE)によれば、同国の11月の生乳生産量は前年同月比1.0%増、12月は同3.5%増となっている。さらに、1月の増加率は5%を上回ると見込まれており、生産回復が見られる。この背景には、生産者乳価の上昇による生産者の増産意欲の増大が挙げられる。さらに、2007/08年の生乳生産量が、前年に引き続き生乳クオータを大きく下回ると予想した同国政府が、各生産者に各自のクオータの15%超過分まで課徴金を課さないとする措置を講じたことが大きいと考えられる。ただし、本措置は本年3月末までの措置であり、再びクオータが縮小する場合の生産者の対応や生産などへの影響が注目される。


欧州議会が2008年4月からの生乳クオータ拡大に関する新提案

 欧州議会の農業委員会は2月26日、2008年4月から予定する生乳クオータ2%拡大提案に関し、加盟国ごとの2%の生乳生産拡大は任意の目標数値とし、生産拡大余力がある加盟国が仮に2%を超えて生産を行っても、EU全体でクオータを超過していなければ課徴金を課さないとする妥協案を採択した。 

 最終的には3月の農相理事会でクオータ拡大に関する合意がなされると見られるが、この場合、最近の生乳生産の回復基調が4月以降も継続するのか注目される。


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