と畜頭数は連続で前年同期を10%以上上回る


◇絵でみる需給動向◇


 米国農務省(USDA)によると、米国の豚飼養施設数は、一貫して減少傾向にあるが、2007年は前年比0.7%減の56,340施設と微減にとどまった。施設数を規模別に見ると、従来は2,000頭以上を飼養する大規模施設が増加し、それ以下の規模の施設は減少傾向にあったが、2007年は5,000頭以上を飼養する大規模経営施設に加え、近年一貫して減少していた飼養頭数99頭以下の小規模な経営施設においてもわずかに増加した。

 豚飼養頭数は2003年から連続して前年を上回って推移しており、輸出需要の増加などによる肉豚価格の値上がりから生産意欲が高まったことから、小規模施設における飼養が増加したものと見込まれる。

規模別飼養施設数


2月のと畜頭数は前年同月比16.4%増の9,446千頭

 このような中、2007年第4四半期以降、と畜頭数が大きく増加傾向で推移している。1月のと畜頭数は前年同月比12.7%増の10,557千頭、2月は同16.4%増の9,446千頭となっている。これは米国産の肥育豚のみならず、カナダからの生体豚の輸入増加も相まってと畜頭数を押し上げる結果となっている。カナダからの2007年の生体輸入頭数は1千万4千頭と前年を14.2%上回っている。

と畜頭数の推移


肥育豚価格は下落

 前述のように豚肉生産量が増加したことから、肥育豚価格は2007年8月から7カ月連続して前年同月を下回って推移し、2007年2月の肥育豚価格は前年同月比13.6%減の100ポンドあたり42.0ドル(キログラムあたり98円、1ドル=106円)となっている。このため豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)も、8カ月連続して前年同月を下回って推移し、2008年2月は前年同月比12.7%安の100ポンド当たり61.0ドル(キログラム当たり143円)となった。


悪化する米国養豚経営

 飼料穀物価格の上昇などを受けて、肥育豚の生産コストは上昇している。USDAによると最近の豚生産コストは100ポンド当たり50ドル弱(キログラム当たり117円)と推定されるが、2008年第1四半期の肥育豚価格は同38〜40ドル(同89〜93円)の間で推移すると見られている。米国においても昨年10月頃から養豚経営環境が急激に悪化し、多くの生産者が赤字経営を強いられているとしている。

 このような中、米国の肉豚生産に大きな影響を持ち、業界最大手の豚肉パッカーでもあるスミスフィールドが、繁殖雌豚を4〜5%削減すると発表した。この動きに他の養豚経営が追随すれば、米国の肥育豚生産の拡大が鈍化する可能性がある。


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