農業法人12社が参加して日本産農産物商談会開催
日本の農業法人など約1,700社が参加する社団法人日本農業法人協会は3月4日、シンガポール市内ホテルにて、「日本産農産物商談会inシンガポール」を開催した。
日本からは、鶏卵(1社)、豚肉(1社)、乳製品加工品(1社)のほか、コメ(3社)、野菜・キノコ(2社)、樹木・花(2社)、加工品(2社)の計12社が参加し、各担当者が、訪れた現地の食料品関連業者や日系、地元系スーパーなど約40社のバイヤーに自社の製品について説明をした。
この商談会は2月に開催された香港・台湾での商談会に続くもので、農林水産省の補助を受け、在シンガポール日本国大使館などの後援を得て開催された。同協会では、「協会としてはこうした取り組みは初めてのことで、野菜や生食だけではなく、加工品も含めて現地の状況把握を兼ねて開催した。シンガポールでは、日本食は在留の日本人だけのものではなく、シンガポール人の間にも広く親しまれている。今回の商談会を日本産農産物輸出拡大のきっかけにしたい」としている。
畜産物関連の参加者は以下のとおり(商談会資料掲載順)。
【(有)中多寄農場(北海道)】
自社で生産した小麦や大豆が原料の飼料や海水由来のミネラルを投与したSPS豚を年間5,500頭出荷。日本産豚肉はシンガポールには輸出できないため、残念ながら肉質が柔らかくドリップが少ないという豚肉の出品はできなかったが、自社生産の大豆や、それを原料に山形県の業者が生産した納豆を出品。
【(株)ノルディックファーム(北海道)】
自社牧場で生産する低温殺菌生乳を材料にしたチーズケーキなどを出品。すでに中国への輸出実績があるが、今回は、世界中から物や人が集まるシンガポールへの販路可能性を探るべく参加。
【(有)仁光園(富山県)】
現在農場HACCPの取得に向けて取り組み中。低飼養密度やサルモネラフリーのひなの導入元、米ぬかを用いた飼料といったこだわりの飼養管理による安全な生食用鶏卵「Namatama
GOOD!」を出品。シンガポールに生卵の食習慣とともに「Namatama Good!」を広めたいとのこと。
農畜産物の輸入先の多様化を進めるシンガポール
食料のほとんどを輸入に頼るシンガポールでは、家畜の伝染性疾病の発生や気候変動による食料の輸入量の減少リスクを分散させ、需給の安定を図るとともに、2007年に小売物価指数で前年比2.9%上昇した食品価格の安定を図るために、輸入国の多様化を進めている。
シンガポール食品獣医庁は、2008年に入り、シンガポール向けの食肉、鶏卵加工施設輸出認定施設として、新たに59施設を公示した。この中には、アルゼンチンの牛肉施設4カ所、冷凍鶏肉施設5カ所、チリの冷凍豚肉施設2カ所、冷凍家きん肉など2カ所、台湾の冷凍鶏肉、アヒル肉施設それぞれ1カ所、ドイツの冷凍豚肉13カ所、ベルギーの冷凍豚肉3カ所などが含まれる。
一方、日本産牛肉、豚肉のシンガポール向け輸出については現在協議中であり、鶏卵については、輸出認定農場は3カ所のみとなっている。
日本産畜産物の輸出促進のためには、こうした検疫条件の交渉の進展が求められる。
シンガポールの食料品の輸入先国別割合
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