干ばつの影響などにより牛の総飼養頭数はわずかに減少


◇絵でみる需給動向◇


2008年1月1日現在の総飼養頭数は前年同月比0.3%減

 米国農務省(USDA)が2月1日に公表した牛の飼養動向調査結果によると、2008年1月1日現在における牛の総飼養頭数は、前年を0.3%(33万頭)下回る9,666万9千頭となった。

 歴史的に米国の牛飼養頭数は、約10年のサイクルで増減を繰り返している。2004年に底を打ったキャトルサイクルは、繁殖経営の収益性の向上などにより、2005年以降上昇局面に転じたが、2006年のテキサス州を中心とした干ばつの影響、また2006年秋以降の飼料コスト高、さらに、2007年の米南東部における干ばつの影響などにより肉用繁殖雌牛の規模拡大が抑制されたため、現在、牛の総飼養頭数は全体的に伸び悩んでいる状況となっている。

全米の飼養頭数


更新用肉用牛(未経産牛)は前年同月比3.5%減と最大の減少幅

 2008年1月1日現在の飼養頭数を部門別に見ると、肉用繁殖雌牛が前年同月比1.0%減の3,255万頭、また、500ポンド(227キログラム)以上の更新用肉用牛(未経産牛)が同3.5%減の567万頭となっており、乳用牛と比較して肉用牛部門での減少傾向が顕著となっている。

 また、州別に見ると、最大の牛飼養頭数を誇るテキサス州では、2007年当初には、2006年の干ばつの影響などにより、更新用未経産牛の飼養頭数が前年に比べてかなり大きく減少していたものの(前年同月比11.4%減の77万頭)今回、肉用繁殖雌牛および更新用未経産牛の飼養頭数は、それぞれ同1.2%減(524万頭)、同2.6%減(75万頭)と、その減少幅は比較的弱まったものとされている。一方、ケンタッキー、テネシー、フロリダ、バージニア州など米南東部の州では、2007年の干ばつの影響などにより、肉用繁殖雌牛の飼養頭数が前年同月に比べ軒並み減少した結果となっている。


USDAでは2008年の牛肉生産量をわずかに減少見込み

 一方、USDAによると、2008年1月1日現在のフィードロット(収容能力1,000頭以上)における飼養頭数は、前年同月比1.0%増の1,210万頭となり、1月1日現在の飼養頭数としては96年以降最高水準とされている。同省によると、2007年の第1〜3四半期までのフィードロットへの導入頭数は、昨年とほぼ同水準で推移したものの、第4四半期以降では、放牧地における牧草の生育状態の悪化や小麦価格の高騰などにより、体重の軽い肥育素牛を中心にフィードロットへの導入が通常より早く進んだ結果とされている。

 このようなことから、USDAでは、2008年の牛肉生産量について、上半期においては前年同期とほぼ同水準(前年同期比0.2%減)となるものの、下半期では前年同期をわずかに下回り(同2.2%減)、2008年全体では同1.2%減の261億ポンド(1,184千トン)になるものと見込んでいる。

 また、今後の飼養頭数の目安となる2007年の子牛生産頭数は、前年比0.4%減の3,736万1千頭と昨年に引き続き減少していることから、牛肉の生産量は、短期的に見ても今後数年間伸び悩むものと予測される。

第4四半期における体重別フィードロット導入頭数の推移


元のページに戻る