穀物の価格連鎖、大豆は35年ぶりに最高値を更新


◇絵でみる需給動向◇


2007/08年度、世界の大豆在庫量は前年度を24.9%下回る

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2008年1月に公表した油糧種子需給予測(Oil Crops Outlook)によると、世界全体における2007/08年度の大豆生産量は、前年度を6.5%下回る2億2,034万5千トンと見込まれている。これは、米国における大幅な生産量の減少によるところとされており、2007年、米国ではトウモロコシ需要の高まりから、大豆の作付面積を16%(11.8百万エーカー)減らした結果、大豆の生産量は前年度を1,641万2千トン下回り、18.9%の大幅な減少が見込まれている。

 一方で、世界全体の消費は堅調であり、2007/08年度の消費量は、前年度を104.1%上回る2億3,525万4千トンと見込まれることから、在庫量は大幅な減少が予測され、米国では、前年度を69.5%下回る475万8千トン、世界全体では、この4カ年度で最低の水準となり、前年度を24.9%下回る4,624万1千トンとなっている。

世界全体の大豆需給


大豆は35年ぶりに高値を更新

 大豆需給のひっ迫から、シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆先物価格は上伸している。昨年12月に過去最高値を更新した小麦、トウモロコシの価格高は大豆に及んでおり、2008年1月の大豆先物価格は、1973年の6月に記録した12.90ドル/ブッシェルを35年ぶりに上回った。


米国、2008年の作付け動向に注目

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が1月に公表した世界の油糧種子市場と貿易(Oilseeds:World Markets and Trade)によると、2007年の1月と12月の大豆とトウモロコシの価格差(CBOTの先物価格)は、2倍以上となる7.50ドル/ブッシェルに拡大しているとした上で、米国の2008年の作付け作目は、輪作体系の維持や種子代、化学肥料代、農薬代などの経費も影響を与えるため、単純に、この価格差だけが作付け作目の決定要因とはならないが、大豆の在庫量が著しく減少していることもあり、今後の動向が注目されるとしている。

 穀物生産は、現在、トウモロコシ、大豆、小麦の3品目により、作付面積を競い合う「椅子取りゲーム」の様相を呈している。

過去の最高値を更新する穀物価格


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