2007年9月以降大きく下落したEUの乳製品価格


◇絵でみる需給動向◇


国際価格の下落に伴いEUの乳製品価格も下落

 脱脂粉乳の国際価格は米国産の価格下落に引きずられ2007年8月をピークに下落している。特にEU域内の飼料用価格は、価格高騰に伴う飼料需要の減退などを背景に、同8月をピークに下落しており、同12月には、2007年1月とほぼ同水準の100キログラム当たり225ユーロ(36,000円:1ユーロ=160円)にまで下がっている。ただし、この水準は依然、介入価格を30%近く上回る水準である。

 同様に、バターの国際価格も2007年11月をピークに下落している。EUの域内価格についても同10月をピークに下落しているものの、同12月は100キログラム当たり340ユーロ(54,400円)と、2007年1月を30%以上上回っており依然高い水準となっている(乳製品の国際価格の推移は参考資料P10参照)。

脱脂粉乳の域内価格の推移

バターの域内価格の推移


脱脂粉乳は生産・輸出とも好調

 脱脂粉乳の生産量を見ると、需要の伸び悩みから減少した2006年から一転し、域内外の好調な需要を背景に2007年3月以降回復し、前年同月を上回って推移した。しかし、夏場の高価格が飼料利用を中心に需要の減退を引き起こし、10月には前年同月を下回った(月別の脱脂粉乳およびバターの生産量の推移はP14のグラフ参照)。輸出量についても、生産量の減少や域内価格の値上がりによる国際競争力の低下から輸出量を大きく減らした2006年から一転して、国際価格の上昇に伴いEUの輸出は回復し、秋口に入り輸出のペースが落ちてきたものの、10月の輸出量は前年同月比で277%と大幅に上回っている。ただし、これは2005年10月の輸出量と比べると90%の水準である。

 バターの2007年1〜10月の生産量は、ほぼ前年並みの水準となっている一方、輸出量は前年同期を下回って推移している。月別に輸出量を見ると、3〜7月は前年同月を上回ったものの、8月以降は前年同月の約半分のペースに落ち込んでいる。この輸出量の減少は、8月以降のバター生産量が前年同月を上回っていることと併せれば、域外の引き合いが強いものの、価格が高水準で推移する中、ユーロ高や輸出補助金の一時的な撤廃などの輸出環境の悪化により、需要が好調な域内への手当を優先させた結果と見られる。

EU27の乳製品生産・輸出の動向(2007年1〜10月)

EU27の脱脂粉乳およびバターの月別輸出量の推移(2007年)


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