好調を維持した生乳生産、2007/08年度は減少予測も


◇絵でみる需給動向◇


2006/07年度の生乳生産は過去最高を記録

 ニュージーランド(NZ)家畜改良公社(LIC)が発表した最新の統計資料によると、2006/07年度(6〜5月)の生乳生産量は、前年度比2.9%増の1,513万4千キロリットルと過去最高を記録した。2006/07年度の生乳生産は、(1)乳製品国際価格の上昇に連動して生産者乳価が引き上げられたことで、酪農家の生産意欲が高まったこと、(2)天候に恵まれ牧草の生育状態が良好であったこと、(3)大規模酪農家の拡大で乳牛頭数が増加したこと、(4)品種改良などに伴い乳牛1頭当たりの乳量が増加したこと−などが生乳生産増加の要因として挙げられる。

 LICの資料によると、2006/07年度の生産者乳価(主要乳業メーカーの平均)は、乳固形分1キログラム当たり4.46NZドル(388円:1NZドル=87円)と、前年度に比べて8.8%上昇した。また、近年の南島を中心とした大規模酪農家の拡大により乳牛頭数は391万6千頭と、この10年間で85万頭を超える増加となっている。なお、大規模酪農家の拡大により、一戸当たりの乳牛平均飼養頭数も337頭(2006/07年度)と同じく10年前に比べて129頭増加した。


2007/08年度の生乳生産状況、上半期は前年並みに推移

 2007/08年度の生乳生産状況を見ると、生乳生産の中心となる北島では、春先に降雨量の不足により牧草の生育状況が例年に比べて悪く、放牧中心のNZ酪農では生乳生産への影響が懸念された。しかし、その後の天候の回復により、生乳生産は順調に回復し、前年並みの生産水準で推移した。一方、南島では、降雨量が少ないという条件下でかんがい施設の整備が進んだことから、酪農向けの放牧地の拡大が進んでおり、折からの国際的な乳製品需要の高まりを背景に、乳牛飼養頭数、生乳生産量がいずれも拡大傾向にある。

 2007/08年度上半期(6〜12月)の生乳生産量を見ると、北島でほぼ前年度水準並み、南島で前年比7〜8%程度の増加、NZ全体で同2〜3%程度の増加となっている(当機構シドニー駐在員事務所調べ)。


北島の酪農地帯を襲う降雨不足は生乳生産に大きな影響

 このように2007/08年度のNZの生乳生産はおおむね順調な推移を見せてきたが、同国の酪農生産の中心地北島では、昨年末からの降雨量の大幅な減少により、一部酪農地域では干ばつの懸念が出はじめている。また、放牧条件の悪化に伴い、生乳生産の急速な減少も伝えられている。

 NZ生乳生産量の9割以上を取り扱うとされる最大の酪農協フォンテラは2月8日、2007/08年度の生乳生産について、前年度水準を下回っていることを明らかにした。フォンテラによると、乾燥の状態が特にひどい地域として、北島のワイカト地方など酪農生産が盛んな同島中央部一帯を挙げており、この降雨不足により酪農家全体で6千万NZドル(52億2千万円)の生産コスト増が発生したとしている。さらに、酪農生産が終了する5月までこの乾いた状態が続けば、生乳生産減少の影響で最高5億NZドル(435億円)もの損失が生じるとしている。一部では、NZ産乳製品の供給に不安感を示す声も出ているが、フォンテラでは、顧客の要望には出来るだけ応じたいとしながらも、供給は非常に厳しい状況にあるとしており、この先の乳製品国際市場にも、少なからず影響を与えそうな状況となっている。なお、フォンテラは、2007/08年度の生乳生産について、当初、前年度比3%の増加を予測していた。


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