地球温暖化対策として、温室効果ガス排出削減と再生可能エネルギー利用を促進
欧州委員会は1月23日、欧州理事会において昨年3月に合意した地球温暖化対策および再生可能エネルギー利用促進対策を具体化する広範な政策パッケージを提案した。今回の提案は、昨年の合意が技術的および経済的に達成可能であることを示すとともに、多くのEU企業に貴重な活動機会を与えるものとしている。
昨年の合意では、地球温暖化対策として、2020年までに
(1) 温室効果ガスの排出量を90年比で最低20%削減
(2) 温室効果ガスの排出削減の一環として、EUが消費するエネルギーについて、再生可能エネルギーのシェアを20%に引き上げ
(3) 再生可能エネルギーのうちバイオ燃料に関して、輸送部門のエネルギー消費の最低10%をバイオ燃料由来のものとすること
とされた。
加盟国別に再生可能エネルギーのシェア目標数値を設定
このうち、特に農業分野が関係する再生可能エネルギー利用の促進については、「再生可能資源のエネルギー利用促進に関する欧州議会および欧州理事会指令」案の中で、各加盟国の義務目標となる具体的なシェアが盛り込まれた。なお、現在、EUにおける再生可能エネルギー利用のシェアは8.5%であり、2020年までに20%を達成するためには大幅な引き上げが必要である。
各加盟国の再生可能エネルギーのシェア目標数値の算定は以下の方法による。
(1) 2005年時点の各加盟国の再生可能エネルギーのシェアとそれまでの利用促進努力を勘案した数値
(2) (1)に5.5%を上乗せ
(3) 20%の目標を達成するために、さらに各加盟国のGDPに応じて配分し(2)に上乗せ
各加盟国は自国の状況に応じ電力、冷暖房、輸送の各部門での利用を組み合わせて目標値を達成することとされている。
各加盟国の消費エネルギーに占める再生可能エネルギーのシェア目標(案)
輸送部門におけるバイオ燃料のシェア目標は全加盟国一律
一方、2020年に輸送部門のエネルギー消費の最低10%をバイオ燃料由来のものとする目標については、全加盟国一律の義務目標数値となる。なお、輸送部門における総エネルギー量の算出に当たっては、同部門で利用するガソリンおよび軽油のみで算定することとされている。
フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は1月18日の講演において、バイオ燃料に係る2020年の10%目標を達成するためには、耕地面積の15%をバイオ燃料生産用作物の栽培に当てなければならないとし、食料・飼料と燃料原料の間で競合が起こることは明らかとしている。このため、バイオ燃料の輸入や第2世代燃料の研究・開発を促進する必要があると述べている。
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